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天には栄え、すべての恋人たちに祝福を(中)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「先生も、お久しぶりです」

 村上の隣で黙って立っている桑山にも視線を向け、軽く頭を下げて挨拶をした。桑山からは、無言で相槌のような小さな会釈だけが返って来たが、彼の目元が僅かに綻んだのを、慎治は見て取った。

「すっごい久しぶりだね」

 高校卒業以来およそ二十五年の時を経ても尚、変わらぬ村上の柔らかく、人を和ませるような笑顔。天真爛漫にも見えるその笑みの裏に、当時は妻子のあった桑山との関係に悩み、それでも一途に彼を想い続けていた強さがあることを慎治は知っている。

「ああ、マジで久しぶり。村上は桑山先生と……今夜はデートか」
「ん。たまには、ね」

 ちらりと桑山を見て、村上が笑みを深める。

 ふたりが今も一緒にいることが、そして村上だけでなく、桑山も幸せそうであることが、慎治の胸を暖かくした。

「俺ね、桑山になったんだよ」
「マジ? おめでとう」
「ありがと」

 言ってももう十年にもなるけど、と肩を竦めながら、村上がはにかんだように笑う。

「そっか……でも、ほんとに良かった」
「ん……。高校ん時は、マジで巽にはお世話んなっちゃったしね」
「ああ。世話したよな」

 冗談口調で返し、けれども当時を思い出すときゅ、と胸が締め付けられる。

 桑山に会えない寂しさに耐えかねた村上に乞われ、一度だけ、村上を抱いたことがある。

 村上に好きだと言えないまま。

 慎治に抱かれながら桑山を想い泣いていた村上のことは、今も忘れてはいない。

 切なく、懐かしい、遠い昔の思い出。

 村上が意味ありげに桑山を見る。桑山は僅かに苦々しく、けれどもそれも過ぎたことと全てを許しているかのように微笑んだ。

 どんな経緯で桑山に知られるに至ったかは分からないが、桑山もそれを知っているらしい。

 桑山は誤解なく知っているのだろうか。

 村上は、本当に桑山を愛していたと。

「先生、村上は高校ん時からほんとにずっと、先生のことだけを想ってましたよ」

 ただ一途に、あなたを想っていた。

 慎治が付け入る隙など、とてもじゃないがなかった程に。

「……ん、今となっては、君に礼を言わないといけないのかな」

 桑山は解かっている、と言うようにしみじみと、ゆっくり頷いた。



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歩×慎治
村上と慎治の話→『あの夏の日』
あゆしんのイブイブはこんなカンジ→『イブイブ、ベッドにて』


 やっぱり3話になってしまいまんた orz
 貴史×生を待ってくださりまりがとんございます(´Д⊂ヽ
 そしてまだ歩が出てこないっつう\(^o^)/オワタ



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コメント
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2009/12/26(土) 11:50 | | #[ 編集]
オトナの階段いぱい上りますたw
>秘密コメ↑Tさん(*´∀`)

お越し&コメまりがとんございます~(´Д⊂ヽ
村上とのことはそんなこともあったなぁ的になってるすw
なにしろもう20年以上も前の話wwwww
それでも片想いだった相手のとのことはやっぱ切ないモノすwみたいなw

慎、オトナっぽさありますでしょか、ヨカタでし~(*´Д`)
オトナっぽさアイテム、コートはもつろんトレンチw 
歩はピーコート辺りを着てるでしょかw
んでディナーもそこそこに(?)はやくおうちに帰りたくて
ウズウズしてるんじゃないかと思ったりw
いやぁ、イイすなぁいつまでも若いすw 慎チン\(^o^)/

大好きありがとうございますっ(´Д⊂ヽ
良いお年をお過ごしくだたい~っ!

2009/12/26(土) 15:44 | URL | ベラ #-[ 編集]
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