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誰もがきっと、誰かの。(92)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「いえ、さっきまで、クーラーの効いた室内にいましたから」

 平気です、と答えるが、不躾にも感じる七月の視線に無意識下で怖じ気づいているのか、七月と目を合わせることができない。

「そっか。やっぱ大企業だね、光熱費も惜しみなく、って感じ?」
「そんな、今はどこもエコ設定を推奨してますよ。もちろんうちもです。ただ、体育会系出身者がほとんどなので暑さに弱い社員が多くて」

 実際、社内には生にとっては寒さを感じる程にエアコンの設定を下げる者が多くいる。周囲を見渡して、それについて苦情を訴える者もなく、それだけでも自分はこの会社にとっては異色の存在なんだろうかと引け目を感じてもいた。営業部に異動して特にそれを痛感し、そのことと己の営業成績にも関係があるのではないかとさえ思ったりもした。

 それもきっと、今回の企画が大型受注に繋がれば、それをきっかけに払拭できる。そしてそれはきっと近い将来実現する。

 自分に改めて言い聞かせ、視線を七月に合わせた。目が合った七月はやっぱり余裕なのか、生にふわりと笑い返した。

「にしても、結構遅くまで仕事してるんだ」
「ここのところ詰めてた仕事が一段落着いたばかりで、今日は久しぶりに日付が変わる前の退社なんです。まだ早い方ですよ」
「じゃあ今日で良かった。待ち伏せは得意だけど、待ち時間は短いに越したことないしね」

 暑いし、と肩を竦めて悪戯っぽく笑う様子には不思議な魅力がある。相手が生でなければ、ストレートの男でさえその気にさせてしまいそうだと思う。生は劣等感がじくりと疼くのを感じながら、七月がこの蒸し暑い中、待ち伏せしてまでここにいた理由を聞いておかなければ、と口を開いた。

「僕に何か、ご用なんですか?」
「そんなに警戒しないで。悪意はないよ。むしろお詫びって言うか、ちょっと。望木のことで」

 その名を七月の口から聞かされて、生の胸がどきりと跳ねた。



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七月の得意技:待ち伏せw→『そもそもお前のせいじゃね?』


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