「あの、部長……?」
きゅいんと音を立て立ち上がるパソコンの静かな唸り声にすらかき消されそうな程小さな声で、村椿が遠慮がちに言った。
「休み明けたら、僕に、号外でなく、正式広報の一欄を、書かせてもらえませんか……?」
きゅいんと音を立て立ち上がるパソコンの静かな唸り声にすらかき消されそうな程小さな声で、村椿が遠慮がちに言った。
「休み明けたら、僕に、号外でなく、正式広報の一欄を、書かせてもらえませんか……?」
両手の指先同士を合わせた絵に描いたようなモジモジ姿で、赤い顔をして三垣を見ている。あ、あの、まだ早い、とか、そう言うんなら、いいですよ、とか何とかごにょごにょと呟いている。三垣はくすりと笑った。
「なら休み明けすぐに、新生徒会長と前生徒会長のインタビューを取るから一緒に来るか? 新生徒会長のインタビュー記事、書いてみろよ」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに礼を言う村椿の様子に三垣の胸の奥で再びおかしな鼓動が鳴る。
「それと、部長……?」
「まだあんのか」
また指先同士を合わせてごにょごにょ村椿が呟く。
「その記事、上手く書けたら、一人前だって、認めてもらえますか……?」
えらく「一人前」に拘るな。確かに他の部員達からはアイドル扱いされ、俺からは下っ端扱いされしていては、そう思うのも無理ないのだろうか。ま、記事を書く力自体は申し分なさそうだし、「もう一人前だ」と言ってやってもいいんだが。
「まあ、読んでみて考えましょ」
最後に引っかかる村椿の事務処理能力のことを考えて、三垣はそう言うに留めた。
「はい! がんばります!」
よくもまあこれだけ表情を二転三転できるものだな、と最後には三垣を感心させるほどに、村椿は表情をまたぱっと明るくした。
「一人前って認めて貰ったあかつきには……」
「へ?」
三垣は、まだ何か要望があるのか、と言いたげに村椿の顔を見た。
「いえ、何でもありません」
嬉しそうに口を窄めて村椿は下を向いた。
「入部の理由、覚えてくださってますか? 『三垣部長に憧れて入部しました』って……?」
「え、ああ……」
そうだったかな、と思いながら曖昧に返事をする。
「夏休み明けには、僕の身長も三垣部長を超えてるかもしれませんしね」
村椿はにっこりと三垣に笑いかけた。
「は?」
「……せっかくなんで、僕、掃除でもしてから帰ります」
そう言って村椿は鼻歌交じりに掃除用具の入ったロッカーへと向かった。
――まさかまさか。まさか、だよな。
三垣はさあっと血の引く思いで村椿の背中を眺めた。まぁなんつか俺も新聞部部長で色々知識は豊富なワケで……ツバキ、まさかそういうツモリじゃ……? そういうってつまりそういう……。俺が下? みてぇな……。
――がっしゃ~ん!
ロッカーを開けた途端に雪崩落ちてきた掃除用具に足を取られて村椿がすっ転んだ。
「おいっ! ツバキ!! 掃除はもういいからっ!」
慌てて三垣は席を立った。
三垣は心のパソコンに打ち込んだ。
『俺の苦労はいったいいつまで続くんだ?』
おしまい
『三垣君の苦悩の日々』シリーズあります。よろしければドゾー。
三垣君の苦悩の日々
三垣君の苦悩の日々ZZ
↓よければポチっと押してクダサイ
「なら休み明けすぐに、新生徒会長と前生徒会長のインタビューを取るから一緒に来るか? 新生徒会長のインタビュー記事、書いてみろよ」
「ありがとうございます!」
嬉しそうに礼を言う村椿の様子に三垣の胸の奥で再びおかしな鼓動が鳴る。
「それと、部長……?」
「まだあんのか」
また指先同士を合わせてごにょごにょ村椿が呟く。
「その記事、上手く書けたら、一人前だって、認めてもらえますか……?」
えらく「一人前」に拘るな。確かに他の部員達からはアイドル扱いされ、俺からは下っ端扱いされしていては、そう思うのも無理ないのだろうか。ま、記事を書く力自体は申し分なさそうだし、「もう一人前だ」と言ってやってもいいんだが。
「まあ、読んでみて考えましょ」
最後に引っかかる村椿の事務処理能力のことを考えて、三垣はそう言うに留めた。
「はい! がんばります!」
よくもまあこれだけ表情を二転三転できるものだな、と最後には三垣を感心させるほどに、村椿は表情をまたぱっと明るくした。
「一人前って認めて貰ったあかつきには……」
「へ?」
三垣は、まだ何か要望があるのか、と言いたげに村椿の顔を見た。
「いえ、何でもありません」
嬉しそうに口を窄めて村椿は下を向いた。
「入部の理由、覚えてくださってますか? 『三垣部長に憧れて入部しました』って……?」
「え、ああ……」
そうだったかな、と思いながら曖昧に返事をする。
「夏休み明けには、僕の身長も三垣部長を超えてるかもしれませんしね」
村椿はにっこりと三垣に笑いかけた。
「は?」
「……せっかくなんで、僕、掃除でもしてから帰ります」
そう言って村椿は鼻歌交じりに掃除用具の入ったロッカーへと向かった。
――まさかまさか。まさか、だよな。
三垣はさあっと血の引く思いで村椿の背中を眺めた。まぁなんつか俺も新聞部部長で色々知識は豊富なワケで……ツバキ、まさかそういうツモリじゃ……? そういうってつまりそういう……。俺が下? みてぇな……。
――がっしゃ~ん!
ロッカーを開けた途端に雪崩落ちてきた掃除用具に足を取られて村椿がすっ転んだ。
「おいっ! ツバキ!! 掃除はもういいからっ!」
慌てて三垣は席を立った。
三垣は心のパソコンに打ち込んだ。
『俺の苦労はいったいいつまで続くんだ?』
おしまい
『三垣君の苦悩の日々』シリーズあります。よろしければドゾー。
三垣君の苦悩の日々
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コメント
イチゴさん
拍手&コメありがとうございまいした!
このシリーズはもう少し続きがありますw
よければまた見に来てくださいませ~
拍手&コメありがとうございまいした!
このシリーズはもう少し続きがありますw
よければまた見に来てくださいませ~
俺が下!?
爆!!笑!!^0^
やるやん、新聞少年!!
侮れないヤツ。
めっちゃ面白かったです。
爆!!笑!!^0^
やるやん、新聞少年!!
侮れないヤツ。
めっちゃ面白かったです。
2007/11/06(火) 17:06 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
わぁ!
嬉しいお言葉ありがとうございます!
これも続きを書いている途中なのですが
なかなか纏まりません(;´Д`)ハァハァ
次回にはエロを入れたい…
のですが平和堂さんに愛想尽か(以下略
嬉しいお言葉ありがとうございます!
これも続きを書いている途中なのですが
なかなか纏まりません(;´Д`)ハァハァ
次回にはエロを入れたい…
のですが平和堂さんに愛想尽か(以下略
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