「お前の方は? 最近どうしてんだよ?」
重い雰囲気になったと思ったのか、石田が明るい声で訊いてきた。
「仕事はまあ……適当にやってる。お前みたいに大口相手じゃねぇ分身動き取りやすいし」
「お前手際も要領もイイもんな」
「情に流されないだけだって」
「お前を見習いてぇよ」
「まさか。俺のやり方じゃ客から好かれる事なんてねぇし。お前のやり方のが正しいって」
そうかなぁ、と首を捻る石田にいやマジで、と言葉を重ねる。
重い雰囲気になったと思ったのか、石田が明るい声で訊いてきた。
「仕事はまあ……適当にやってる。お前みたいに大口相手じゃねぇ分身動き取りやすいし」
「お前手際も要領もイイもんな」
「情に流されないだけだって」
「お前を見習いてぇよ」
「まさか。俺のやり方じゃ客から好かれる事なんてねぇし。お前のやり方のが正しいって」
そうかなぁ、と首を捻る石田にいやマジで、と言葉を重ねる。
――そんなお前だから陣内さんは好きになったんだろう。
坂崎も、陣内の事がなければこの男の事が好きだった。いつも笑顔を絶やさず、謙虚で、優しい。頼まれごとには全力で応えようとする。結果、皆に頼られる。
――俺がお前だったら。
何度も考えたどうにもならない仮定がまたふと頭をよぎる。坂崎は軽く頭を振って、虚しい思考を払拭した。
「坂崎結婚は? 入社の頃彼女居るって言ってたよな?」
「いつの話だよ。もうとっくに別れてるよ」
――彼女じゃなくて彼氏だけど。
心で付け足して、首を竦める。
流れでコイバナには行くだろうと予想はしていたが、いきなり振られるとやはり焦る。坂崎は身構えるために煙草に火を点けた。
「だってお前プライベート謎なんだもんよ。じゃ今は? 誰か居んのか?」
「んーまぁ、……居るよ」
「そっか。なら良かった。今度紹介しろよ」
「機会があればな」
薄く笑って頷く坂崎に、石田がその気ねぇだろ、と笑って突っ込む。
「プライベート謎と言えばさ、陣内さん」
石田の言葉にぴく、と坂崎の身体が反応する。坂崎は続きを促すように両眉を上げてみせた。
「あの人も謎だよな。でも俺……前お前に話しただろ、陣内さんに歯形見付けたって。あれから結構凄ぇ気になっててさ」
「ど……う言うふうに?」
思わず言葉が吃る。落ち着け俺、と脳内に呼び掛けて、坂崎は煙草片手にビールを呷った。
「あの人でもああいう状況になるような事してんだな、とか。まぁ当たり前だけど、どうしても意外に思えてさ。よく見たら……なんつーか、顔も整ってるっつうか綺麗だし、実はモテんのかな、とか……」
「……まったお前……忙しいのにんな事考えてっから奥さん怒ってんじゃねーの? オラ石田お前もー飲んどけ」
そかな、そうかもな、と何度も自問自答する石田を横目に、生大二つ追加、と店員に大声で注文し、坂崎はその話を無理矢理終わらせた。
石田との飲みは二人の満腹と共にお開きとなり、午後十時だったにもかかわらず、たまには早く帰るよ、と石田は家路に就いた。坂崎も石田と一緒に、石田が途中下車するまで独身寮に戻る電車に乗っていたが、石田が降りた次の駅で電車を降りた。
駅を出るとタクシーは出払っていた。大通りに出てタクシーを探しながら、陣内に電話をかけた。
「陣内さん、今から行っていいすか」
いいよ、と返す陣内の声に心臓がきゅ、と音を立てる。
「行ったらすぐ……抱いていいすか」
一度目と同じ調子で返ってきたいいよ、という優しい声に胸打ちのめされながら、坂崎は捕まえたタクシーに乗り込んだ。
←10へ戻る ・ 12へ進む→
1から読む→
石田・陣内につきましてはこちら→コイゴコロヒトツ
坂崎・陣内につきましてはこちら→コイゴコロフタツ
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書く意欲に繋がってますv
坂崎も、陣内の事がなければこの男の事が好きだった。いつも笑顔を絶やさず、謙虚で、優しい。頼まれごとには全力で応えようとする。結果、皆に頼られる。
――俺がお前だったら。
何度も考えたどうにもならない仮定がまたふと頭をよぎる。坂崎は軽く頭を振って、虚しい思考を払拭した。
「坂崎結婚は? 入社の頃彼女居るって言ってたよな?」
「いつの話だよ。もうとっくに別れてるよ」
――彼女じゃなくて彼氏だけど。
心で付け足して、首を竦める。
流れでコイバナには行くだろうと予想はしていたが、いきなり振られるとやはり焦る。坂崎は身構えるために煙草に火を点けた。
「だってお前プライベート謎なんだもんよ。じゃ今は? 誰か居んのか?」
「んーまぁ、……居るよ」
「そっか。なら良かった。今度紹介しろよ」
「機会があればな」
薄く笑って頷く坂崎に、石田がその気ねぇだろ、と笑って突っ込む。
「プライベート謎と言えばさ、陣内さん」
石田の言葉にぴく、と坂崎の身体が反応する。坂崎は続きを促すように両眉を上げてみせた。
「あの人も謎だよな。でも俺……前お前に話しただろ、陣内さんに歯形見付けたって。あれから結構凄ぇ気になっててさ」
「ど……う言うふうに?」
思わず言葉が吃る。落ち着け俺、と脳内に呼び掛けて、坂崎は煙草片手にビールを呷った。
「あの人でもああいう状況になるような事してんだな、とか。まぁ当たり前だけど、どうしても意外に思えてさ。よく見たら……なんつーか、顔も整ってるっつうか綺麗だし、実はモテんのかな、とか……」
「……まったお前……忙しいのにんな事考えてっから奥さん怒ってんじゃねーの? オラ石田お前もー飲んどけ」
そかな、そうかもな、と何度も自問自答する石田を横目に、生大二つ追加、と店員に大声で注文し、坂崎はその話を無理矢理終わらせた。
石田との飲みは二人の満腹と共にお開きとなり、午後十時だったにもかかわらず、たまには早く帰るよ、と石田は家路に就いた。坂崎も石田と一緒に、石田が途中下車するまで独身寮に戻る電車に乗っていたが、石田が降りた次の駅で電車を降りた。
駅を出るとタクシーは出払っていた。大通りに出てタクシーを探しながら、陣内に電話をかけた。
「陣内さん、今から行っていいすか」
いいよ、と返す陣内の声に心臓がきゅ、と音を立てる。
「行ったらすぐ……抱いていいすか」
一度目と同じ調子で返ってきたいいよ、という優しい声に胸打ちのめされながら、坂崎は捕まえたタクシーに乗り込んだ。
←10へ戻る ・ 12へ進む→
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石田・陣内につきましてはこちら→コイゴコロヒトツ
坂崎・陣内につきましてはこちら→コイゴコロフタツ
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コメント
もうベラさんのセリフにはいつもドキドキ…
石田さん、何気に坂崎さんを煽ってますねw
本人は何も気づいていない(笑)
この後がとっても気になります~
(更なるお笑い情報ありがとうございました♪楽しみが増えましたよww)
石田さん、何気に坂崎さんを煽ってますねw
本人は何も気づいていない(笑)
この後がとっても気になります~
(更なるお笑い情報ありがとうございました♪楽しみが増えましたよww)
2008/02/21(木) 14:25 | URL | 蛍 #-[ 編集]
いつも「もっと萌えなセリフを!何かないのか~!」と
天に向かって叫んでますので
そう言ってもらえたら禿るほどウレシスですv
今回ちょっと煽り役くらいにはなれましたでしょかw
石田にどこまで陣内にちょっかいかけさせるか
悩みどころですwwwww
ヤっちゃいたいのが本音ですが
そのあとの収拾がつけられませんwwwwww
石田、うまく動いてくれるか。動いて欲しい…wwwww
よろしければ最後までお付き合いくだちぃ;;
天に向かって叫んでますので
そう言ってもらえたら禿るほどウレシスですv
今回ちょっと煽り役くらいにはなれましたでしょかw
石田にどこまで陣内にちょっかいかけさせるか
悩みどころですwwwww
ヤっちゃいたいのが本音ですが
そのあとの収拾がつけられませんwwwwww
石田、うまく動いてくれるか。動いて欲しい…wwwww
よろしければ最後までお付き合いくだちぃ;;
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