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三垣君の苦悩の日々・ファイナル(1)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「では先輩方の卒業を祝して、カンパーイ!」

 現部長の音頭を合図に、部員一斉にカチリ、とグラスを合わせた。綾峰高校新聞部の追いコン会場。部員の高見の両親が経営している居酒屋の座敷を貸し切っての開催となった。グラスの中身はもちろんジュース類のソフトドリンクのみにするよう店に頼んである。

 元部長の三垣は感慨深い気持ちで集まった全員を見ていた。同級生たち、後輩たち、みんな三垣と共に成長し、あるいは成長を見守り、新聞部生活を過ごしてきた。

 とりわけ成長著しいのはアイツ――村椿一(はじめ)だ。

 三垣は片眉を上げて半ば忌々しげに壁の対角にいる村椿を見遣った。入学当初の様子からは想像できない成長ぶりを思って苦笑が漏れる。この一年で村椿の身長は三垣とほぼ同じになってしまった。幼さばかりが目立っていた表情にはすっかり男らしさが増し、元来の色白な肌に泣きぼくろの美しい青年へと変貌を遂げた。

 最初彼のファンとして取り込んだ部員たちともうまく関係を築き、可愛らしさが抜けてもアイドルのように扱われ続けていた。男らしさが増した事で女子からの人気も出てきているらしい。

 その村椿が、入学した時から三垣にアコガレてる、三垣が好きだ、と言うのだ。合コンに二人揃って出席した過去には、三垣が酔って動きが鈍くなったところを、村椿にあろうことかキスを奪われてしまった事まである。

 ――奪われた、というと俺のプライドというか沽券に関わる、というかまぁ……奪われたワケなんだけれども。

 三垣はというと、情報整理分析には変に長けてしまっているから自分の気持ちがどこにあるのかは分かっていた。村椿の一生懸命な姿とか、どうもトロい所とか、なのに記事を書いたらびっくりするほど鋭い事を書くとか、村椿が泣きそうになると慌て、笑うと心臓が高鳴り、――つまりは好きだ。好きだから村椿の気持ちには応える事ができる。……できるんだけれども。



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三垣君シリーズあります。よろしければあわせてお読みくだちぃ。
三垣君の苦悩の日々
続・三垣君の苦悩の日々
三垣君の苦悩の日々ZZ



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