トモダチ、卒業します。（３）（R15)

「ぁ……木戸……」

　衣服の下で何が行われているのか分からない不安に煽られるのだろうか。こんな所を触られてこんなに感じるなんて、知らなかった。あんな小さな器官に何のスイッチが仕込まれてるんだろう。溶けてしまいそうな思考の向こうでそんな事を考えていると、不意に固く尖ったしこりを摘まれた。

「んっ、あっ、……ぅ」

　自分の意思に関係無く背が跳ねる。太一は服の下で動く木戸の骨張った手を思い浮かべて身を焦がした。


「服、邪魔……」

　――俺を触るお前の手、見せて。

　服の上から、木戸の手をそっと握った。

「ん……太一、めっちゃエロいなお前……」

　摘んだそこを、また指の腹で潰すように押しながら、木戸が片頬で笑う。木戸はもう一方の手で太一の髪を梳き、頬にキスを落とした。

　そんな事を言う木戸の方がよっぽどエロい表情をしてるのに、と普段からエロいと揶揄する木戸の少し垂れた目元を指先でなぞった。

「太一、俺の事好き？」

　訊きながら、木戸の目元に触れる太一の指を取り、木戸がその指先に口付ける。

「ん……好きやなかったら、こんな事してへん……」

　セックスするなら想ってる相手と。

　今時笑われそうだと自分でも思うけれど、誰でも良いから早く経験したいと焦る友人たちの気持ちが分からなかった。

　初めて抱いた欲望。

　相手が木戸だった事に驚き、焦り、絶望もした。欲望さえ抑えれば、トモダチという地位は守られる。その地位を守ろうと、欲望を諦めたつもりだった。

　想いが叶った途端に生命を持ったかのように溢れ出す欲望。木戸の想う相手が自分だった奇跡に、笑みが零れた。




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ホテルに来るまでの経緯。→これで、卒業。


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