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ただ、それだけ。(8)(R18)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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※性描写ですw


 官能に全身を侵され始めた野田が、全てを穂積に託したのを察知すると、野田から上衣全てとスラックスを剥ぎ取りベッドの中央にその身体を引き上げた。その間野田は一度だけ、シーツの冷たさに身体を震わせ、ん……、と鼻から甘い声を漏らした。


 ずっと聞いてみたかったその声。その甘い響きに穂積の脳髄が蕩ける。胸の突起にそっと指先を宛てがうと、野田は焦れたようにその胸を反らせた。

 ――この身体でよく、オンナ相手で我慢できたな。

 見た事はなかったが、野田の普段の清廉さから穂積が想像していた野田の妻では、この身体を満足させてやる事はできないのではないかと思った。

 あるいはいつもより摂りすぎた酒と、初めて人に話した弟の事で、野田のどこかが麻痺してしまったのかも知れない。

 指の腹で突起をゆっくりと回す。それを数度繰り返すと、指先には芯を持った固さの感触が返ってきた。小さなその芯を、多少痛みを感じるであろう強さで摘むと、野田はびく、と身体を痙攣させて何かを堪えるようにその表情を切なく歪ませた。

「ぁ……、っ……」

 喉が晒される。美しく浮き上った喉仏。穂積は噛み付くように、斜に食らい付いた。

「はぁっ、っぁ、……」

 野田が声を漏らす度、その振動が穂積の唇に伝わる。

 ――このまま噛み切ってしまいたい。

 自分の下で野田がこうなる事を望んでいたはずなのに。

 初めて触れる体温にこんなに無防備に身体を晒す野田に対して、穂積の奥底でどす黒い衝動が見え隠れする。明日になれば、野田は戻っていってしまう。ならばいっそ。

「あ、穂積……」

 名を呼ばれて、我に帰った。野田は、今野田に触れているのが穂積だと、分かっている。

 それでも抵抗しないのは。

 快感に流されたのか、それとも。

 ――俺を受け入れてる? ……まさかな。試してみるように仕向けたのは俺なんだから。

 いずれにしてもこの先何度か、野田を共にする出張がある。野田が一人になった時、ふと今夜の事を思い出せば良い。そしてまた、俺が欲しくなるように。この身体に、じっくりと俺を刻み付けて。

 穂積は牙を剥きかけていた己の顎を緩め、舌先で固い骨をざらりと舐め上げると優しく吸い上げて唇を離した。



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