にしがひがしに（１）

　見た目は、仕事のできそうな好青年。学生時代はアメリカンフットボールをやっていという、サワヤカな日焼け顔。けれどもその目の奥にはなんとも形容しがたい色気が見え隠れし、それだけで中野は過去相当遊んできたんじゃないかと、太一に勝手な想像を抱かせた。

「それそれ。『ありがとー』だけでももうイントネーション違うんだよね」

　中野は嬉しそうに太一を指差し、関西訛りの「ありがとー」を練習するように何度も呟いた。

「『おおきに』とかは？　言わねーの？」
「商売とかしてん限り俺ら世代はもうあんま言わへんのとちゃうかなぁ。俺のばーちゃんなんかは『おおきに』も『堪忍』も普通に使(つこ)てるけど」
「『堪忍』！！　堪忍って、ちょっとベッドで言わせたい言葉だよねーっ。うわー、スゲェな堪忍！　男のロマンだ……。関西弁、スゲェ新鮮だし。俺東京生まれヒップホップ育ちだからさー」
「なんやソレ。お前どっちか言うたら伊東家育ちって感じやないか。って言うかいっつも俺と喋ってるやんけ。俺の関西弁はあかんのかい」
「木戸はなんか馴染んじゃっててさー。てか普段関西弁喋ってなくね？」
「喋ってるわ」

　アホか、とツッコミを入れる木戸のチョップを胸元に受けて、中野はとても楽しそうに笑っている。

「……にしても」

　大ジョッキを一気に半分近くまで空けた中野が、手の甲で口元を拭いながら、テーブルにだん、とジョッキを置いた。

「木戸のツレだっつーからどんなゴリラが来るかと思ってたのに」

　酔った訳ではないだろうに、中野は早くもぐらりと頭を揺らし、テーブルに両腕をついて太一を覗き込んだ。

「こんな可愛いコが来るとはねー」
「か……可愛いて……」
「俺のツレがゴリラってどゆコトやねんコラ」

　中野のその言葉に太一は脱力したようにあいまいな笑みを浮かべ、木戸は片眉を上げて中野を睨み付けた。



２へ→


木戸×太一についてはコチラ↓
『これで、卒業。』
『トモダチ、卒業します。』（R18）



にほんブログ村

↑ランキング参加中す。よければポチっと押してクダサイ
書く意欲に繋がってます。



どんだけ居酒屋ばっかりでてくるブログですかwwwwww

ちなみにその１。
にしがひがしに→回文すｗ上から読んでも下から読んでもにしがひがしに。
京都から東京へ遊び行った太一をイメージして。

ちなみにその２。
東京生まれヒップホップ育ち、こちらはご存知の方も多いと思いますが。
「川崎生まれ伊藤家育ち。節約してるヤツは大体トモダチ」ってのもあるんすｗ
（＠『電気グルーヴとかスチャダラパー』）
木戸は渾身のツッコミを挿れてるんすけど、多分誰も気付いてないwwwwww



失礼しますた＼(^o^)／ｵﾜﾀ