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ただ、それだけ。(14)(R18)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 ――穂積。

 穂積が伝えたかった事はこういう事だったんだろうか。

 野田の、無意識の罪を引き受けると、穂積は言った。歩に代わって、穂積が野田を罰するのだと思ったその行為は酷く甘く、罰とはほど遠いものに感じられた。

 妻にも施した事がない程に丁寧だった穂積の愛撫は、野田を焦らし、官能の淵に引きずり込んだ。最後までそれを受け入れたのは、その行為の甘さと、穂積が呼んだ、――己の名。その声は酷く切なく響いて、野田の心を締め付けた。

 翌朝、顔を合わせた穂積は夕べの情事などまるでなかったかのように、ごく自然に野田に笑いかけた。その事に拍子抜けしたような、一抹の寂しさのようなものを感じながらも、野田からは何も言及できないまま残る仕事を共にこなし、そして別れた。

 ――野田さん。

「ぁ……」

 穂積の声が残響となって身体の中で乱反射する。昨夜の情事の名残りにそっと、手を伸ばした。丁寧に解されたそこは、穂積を受け入れても尚傷付く事なく、触れるとただ初めて知った官能を身体に思い出させるばかりだった。

 指を唾液で濡らして、指先をつぷりと挿し入れる。昨夜穂積がしたように、指先をぐるりと中で回すと、その小さな圧迫感にぞくりと背が粟立った。

 空いた手で、胸の突起に触れる。指の腹で何度か擦って固く尖ったそこを少し強く摘むと、腰の奥で官能の火が灯った。

「ん……、……」

 腰を揺らしながら、背後に挿し入れた指をより深く埋めてゆく。穂積の手によって初めて暴かれた己の官能を追って、埋めた指で中を擦った。

「ぁっ……」

 押し寄せる射精の兆し。野田は羞恥も忘れ、急いた仕種で穿いたものを脱ぎ捨てて自身を握った。

「あ、穂積……っ、ん、ンんっ」

 その瞬間口にした名に自分でも愕然としながら、野田は自らの手の中に、狂おしく身体を灼く熱い滾りを吐き出した。




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