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つきはきんいろ。4/4

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「……山根さん、俺、会社辞めようかと思ってるんです」

 ぽつり。健一郎が呟いた。

「――え」

 途端、玲の目に痛いほど入り込んでいた光から色が奪われた。

「そんな……お前、まだ入社三年目じゃないか……。一体何で……」
「実家が愛媛でみかん農園をやってるんです。それを手伝おうかなと」
「……んだよ」
「え?」

 戦慄いて震える唇から洩れた玲の言葉がよく聞き取れず、健一郎が玲の顔を覗き込んだ。

「俺は今まで何のためにお前を拒んできたんだよっ!」

 玲が健一郎のシャツの胸元を掴む。

「そんな……遠くへ行くならもっと早く……」

 ぱた、と音がした。それは玲の頬を伝って床に落ちた涙だった。続けてぱたぱた、と音を立てていた涙を、健一郎が玲の頬を拭って堰きとめた。

「よかった……」

 健一郎が玲をふわりと包み込む。

「これでだめなら、本当にそうしようと思ってたんです」
「……え?」

 玲は、目を瞬かせた。頬を伝う涙がすぅっと目に戻っていきそうな気すらした。

「俺もまだまだ山根さんと一緒にいたいですから」

 健一郎が玲に満面の笑みを向ける。

「でも、もし会社にバレてクビになったら、山根さんも一緒に来てくださいね」

 再び色を取り戻した月の光を浴びて、健一郎が眩しく見えた。

「……月見ておかしくなったのは、俺のほうだったか……。俺の涙、返せ」

 ふうーっという長い溜息と共に玲の身体から一気に力が抜けた。

「山根さん」

 玲を包む健一郎の腕に力が篭る。

「おかしくなったついでに、もう少しおかしくなってくれませんか……。……好きです」
「ん……」

 月明かりの中、二人は長いキスをした。


 月は暫く二人だけのものになった。


おしまい

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コメント
き・ち・く~~~~~!!!
(て、たぶん、このBLボキャも間違ってるんだろうな・・・)
ま、「策士」くらいにしといたろか。
好きな相手をオトすのに、手段を選ばないヤツ。
BLの新境地その2、「マキャベリ萌え(もういい加減にしろ、私)」。
2007/11/09(金) 20:15 | URL | 平和堂書店 #-[ 編集]
ああそうですね普通において鬼畜は
そういう時に使うんですよねきっとwwwww
鬼畜というとエロしか思い浮かばない私は
今後正しい場面で正しく「鬼畜」を使うことはできないのかもです…wwwww
一度腐ってしまったらもう戻れない…
というか最初から腐ってるってハナシもありますがどうしましょう

今日もたくさんのコメあ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!ございまシタ!
2007/11/10(土) 05:08 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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