Fly Me To The Moon（５）

　――昨日の今日でこれだよ俺。それとも昨日の今日だから？　どっちにしても生徒相手に……つーか生徒相手にまで。なんて俺らしいんだよ。

　和大の言葉に思わず頷きたくなってしまった自分を、苦く笑う事でなんとか諫めた。

「――スゲェイイタイミング。昨日別れたんなら今誰とも付き合ってねんだよね？」

　だったら、と控え目な態度だが、強引な言葉で食い下がり、和大がナツメを見た。

　ナツメの心の揺れに気付いているかのような、あるいは余裕にも見える穏やかな和大の笑みに、思わず焦る。とどめを刺されそうで、身構えた。

　突っ撥ねなければ。調子に乗らせないためにも、強く。

　ナツメは自分の方にこそ余裕があるんだと見せつけるように薄く笑って、和大を斜に見やった。

「――お前じゃ俺を満足させらんねーよ」
「何を？」

「セックス。――ヤった事は？」
「……ねーよ。ナツメさんが教えてよ」

「やだね。よそで練習しろ」
「そんなの意味ねぇよ」

「あぁ？」
「誰かの悦いとこが、ナツメさんの悦いとことは限んねぇじゃん」

「……そんなの、回数こなせば大体分かってくんだよ。経験に基づく統計学じゃん」
「俺は、ナツメさんの事が知りてんだよ」
「……っ」

　このままだと、踏み込まれる。全てをさらけ出したら、また……。

　じりじりと、ナツメに忍び寄るのは、不安。こんな数分で、もう和大を失う事を恐れている自分がいる。

　和大をキツく睨む事で、ナツメは必死に心を閉ざした。




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和大の初恋ｗ→『空に、白い雪』



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……なんかもうナツメより誰より私が(；´Д｀)この先かなり不安ｲﾊﾟｰｲ(；´Д｀)