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Fly Me To The Moon(6)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「――俺で満足できねんなら、満足できるようになるまで、ナツメさんが満足できる相手としてイイから」
「は? 浮気容認? バカじゃねぇ?」
「バカでもいーよ。だから俺と、付き合ってよ」

 和大の手が、伸びてきた。反射的に、身体を強張らせる。けれども頬に感じたのは、優しげな手のひらだった。

「ナツメさんの事、もっと教えて」
「……やだね」

 その手を振り払うように、和大の手を押し退けた。和大は振り払われた手をじっと見て、けれども素直にその手を下ろした。

「――ねぇナツメさん」
「あ?」

 あやすような柔らかい声。さっきからナツメを惑わすのは、和大のこの声なのかも知れない。目を閉じていたなら、きっと催眠術にでもかけられたように動けなくなっていただろう。今気付いた。和大を年相応に見えなくしているものの一つに、この響く低音があった。

「――さっき弾いてたの、なんて曲?」

 ナツメは急に変わった話題に毒気を抜かれて目を瞬かせた。

「……、『Fly Me To The Moon』」
「いい曲だね」

「まーな。音楽に罪はねーし」
「もっ回弾いてよ」
「うるっせぇよもう帰れお前」

 ナツメがそんな態度を返す事さえ、知っていたかのように。和大は笑みのまま立ち上がった。座っていた椅子を戻し、ナツメを見る。

「――また来ていい?」
「もう来んな」

「考えといてよ」
「何を」

「俺と付き合うって話」
「考えねーよ」

 それでも和大はどこか楽しそうに笑った。さよなら、とナツメに言葉を残すと、和大はゆっくりとナツメに背を向けて、そして部屋を出て行った。

 冬の日暮れは早い。いつの間にか辺りは薄暗くなっていた。

 また一人になって、急に寒さを思い出す。ナツメはまた、鍵盤を一つ選んだ。すとんと指先を落とすと広がるのは、さっきより少しだけ暖かみを持ったピアノの音色。

 昨日の痛みの事は、いつの間にか忘れていた。






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和大の初恋w→『空に、白い雪』



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ナツメが選ぶように弾いた一音ですが、
和大が来る前は「シ」(寒色の音)(のイメージ)、
帰ってからは「ラ」か「ミ」(若干暖色)(のイメージ)を弾いたイメージ(*´∀`)




コメント
一途…
 一途な高校生……たまりません!!
 和大タンがナツメさんのこと、色々変えてっちゃうんでしょうか!?
 うぅん、楽しみ~~!!!
2008/12/21(日) 11:11 | URL | 如月久美子 #-[ 編集]
なんでこんなに自信満々に一途なんでしょかw
>如月さん(*´∀`)

穏やかにオセオセな高校生、ナツメの首を真綿で絞めるように
じわじわじわじわ落としてイかせたアッ――!
…と思ってるんすけどどうにもこうにもニントモカントモ(;´Д`)
ナツメの性分は根が深い(脳内設定)ので
完全に変わるまでにあと6,7年くらいかかるかもすw
どうやってこの話纏めたらイイんでしょうか
あああああボスケテ如月さんアセアセ(;´Д`)
っていつものパターンwwwwwwwwwworz

*********************************************

>秘密拍手コメiさん(*´∀`)

こう…なんとなく音に色があるんすw
年とともに色々鈍ってきましたが(←)
ピーク時はとにかくもう脳内カオスですたw
ちょっと今続きが描けなくてまた(;´Д`)ってなってます
更新量減るかもしれませんが
オケツペチペチやっていただけたらアッ――!って喜びます
いやどぞほんとにお付き合いいただければ幸いです(;´Д`)

Y運輸の件のスペシャルサイト、見に行きますた(*´∀`)
もうちょっとでブログパーツ貼るところですたよw
淳はユニフォームの加減から私の脳内ではS武運輸なんですが
ライオンもネコすね(゚∀゚)アヒャ
この業界何より足腰ダイジな職業なのに
みんなみんな荷物運ぶたんびに「あっ」とか「うっ」とか
そりゃもうヘンターイ(*´∀`)
そんな職場になれば(・∀・)イイ!!なぁ(*´∀`)

2008/12/21(日) 22:52 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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