不幸は、母と男の趣味が似ていた事だろう。
「愛してるよナツメ……ナツメだけだ」
そう囁きながら彼は、恋をしたナツメを抱いた。ナツメは中二だった。
相手は、母が連れてきた新しい父親。
「愛してるよナツメ……ナツメだけだ」
そう囁きながら彼は、恋をしたナツメを抱いた。ナツメは中二だった。
相手は、母が連れてきた新しい父親。
恋に、舞い上がった。想う相手に抱かれる悦び。そんな幸せがずっと続くと思っていた。そのためになら何もかも捨てる覚悟もあった。
けれどもその男は、ナツメを抱いたその腕で、ナツメの母を抱いた。ナツメが咎めようとすると、男はまたナツメを抱く事でそれをうやむやにした。
そして彼は突然、いなくなった。ナツメの前からも、母の前からも。
それでもナツメも母も、また恋をした。新しい、違う相手に。
――永遠なんてない。それこそが永遠に言える真実。
その出来事が原因だとは思わない。きっとこれをきっかけに、自分の在り方に気付いただけだ。
相手の気持ちも、自分の今ある気持ちでさえも、信じる事ができない。
誘いが軽い程、楽だった。
相手の気持ちが大きい程、余所に逃れて、相手を傷付けた。
「――で、今の俺の出来上がり、か」
「何?」
「なんでも。ちょっと昔の事思い出してた」
数学準備室。数学教師の河辺がコーヒーの入ったマグをナツメに手渡しながら聞いた。
「思い出す事多過ぎて大変だろ」
「そうでもねーよ」
笑いながら問う河辺に、ナツメはしれっと答えて肩を竦めた。
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けれどもその男は、ナツメを抱いたその腕で、ナツメの母を抱いた。ナツメが咎めようとすると、男はまたナツメを抱く事でそれをうやむやにした。
そして彼は突然、いなくなった。ナツメの前からも、母の前からも。
それでもナツメも母も、また恋をした。新しい、違う相手に。
――永遠なんてない。それこそが永遠に言える真実。
その出来事が原因だとは思わない。きっとこれをきっかけに、自分の在り方に気付いただけだ。
相手の気持ちも、自分の今ある気持ちでさえも、信じる事ができない。
誘いが軽い程、楽だった。
相手の気持ちが大きい程、余所に逃れて、相手を傷付けた。
「――で、今の俺の出来上がり、か」
「何?」
「なんでも。ちょっと昔の事思い出してた」
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「思い出す事多過ぎて大変だろ」
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