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Fly Me To The Moon(8)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 河辺はこの学校で唯一、ナツメの性嗜好を知る同僚であり、彼もまた、ナツメと同じ嗜好を持つ。

 その付き合いは学生時代にまで溯る。河辺とはその手の店で出会い、偶然職場を同じくした。

 涼しげな目元に通った鼻筋。少し酷薄そうな唇。端正な顔に引き締まった体躯を持ち合わせる彼はよくモテる。けれども彼もまた、軽い付き合いを好むらしく、決まった相手がいるのを見たことがなかった。

 ナツメの事は、いつでも、というよりむしろ決まった相手がいる時程誘われれば断らないタイプなのを知っていながら、ナツメに恋人と呼べる相手がいる間、「刃傷沙汰に巻き込まれるのはごめんだね」と決してナツメを誘う事はない。

 けれどもナツメが独り身になると、それを見計らうように河辺はナツメを誘い、過去に二人は何度か、戯れのように身体を重ねた事もあった。それ以上の関係を求めてこない河辺は、ナツメにとって至極楽な相手だった。

「――で、彼氏、今日も来たんだ?」
「そう言う言い方すんなって。全然そんなんじゃねーよ」
「言われてんだろ? 付き合ってくれって」
「んー……うん」

 あれから和大は、放課後毎日のようにナツメに顔を見せた。話す内容は他愛ない事がほとんどだったが、帰り際に必ず和大はナツメの頬の傷の具合を見た。

 和大の最初の訪問から一週間経った今日、傷がとうとう癒えた。

 良かった、と笑った和大に、ナツメは間違いなく、また恋をした。

「――まだ食ってねんだ?」
「ねーよ、学校だろここ」
「なにらしくねぇ事言ってんだよ」

 眉を寄せて河辺を見るナツメに河辺は笑いながら、ナツメの手からマグをそっと取った。

「それに、……」
「それに?」
「ダメんなるって分かりきってんのに、始めるようなバカな真似しなくてもいいだろ?」
「――なんだ、もうほだされてんじゃねぇかよ」
「ちげーよ」
「自覚ねぇのかよ」

 河辺の瞳の奥で、暗い炎が揺らめいた。


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コメント
んきゃ♪
イイすね~イイすね~~♪
この関係性も萌えますねぇ~~♪
マグ取っちゃってどうするんすか、河辺センセ?!
和の一途な感じにも萌えます(///∇//)むふ☆
あぁ~ん、先が楽しみ~~!
2008/12/24(水) 00:24 | URL | 柚子季杏 #-[ 編集]
コメまりがとんです(*´∀`)
>柚子季さん(*´∀`)

イイすかダイジョブすかんもーまりがとんございます(;´Д`)
まったりまたしてもお恥ずかしながら文字数抑えてぼちぼちヤってまアッ――
あんま書かないタイプのウケなんで
設定がブレブレな気満々なんすけど((;´Д`)
まったりと、やれるだけヤりたい事をなんとか
続けてイきたアッ――!(そればっかw)
いと思います(*´∀`)
まったりですがお付き合いいただければウレシスです(*´∀`)
2008/12/24(水) 19:57 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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