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Fly Me To The Moon(11)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「ナツメはな、手元に置こうとする程、余所に逃げ道を求めんだよ。本当に手元に置いておきたければ、適当な関係を保ってやるのがいんだよ」
「――俺にはそれがナツメさんの本質には思えねんすけど」


 初めての授業でナツメの緩い笑みを見てすぐに、和大はナツメに対する恋を自覚した。

 その表情を見るにつれ感じたのは、ナツメの心にある、どこか満たされず、ぽっかりと欠けた部分。それは小さなブラックホールのように和大を惹き付けて、ナツメから目を離す事ができなくなった。

 その欠けた部分に何があるのか、知りたい。そしてそれを満たす事ができるのが願わくば、自分であるように。

 一週間余の、短い期間に交わしたいくつかの言葉。付き合って欲しい、と静かに迫る和大に返すナツメの言葉はいつもそっけなく、そうする事でナツメが自分を何かから守っているかに感じられた。

 少しずつ癒えていったナツメの頬の傷。ナツメの優しく、そしてどこか寂しく響くピアノの音。それらとナツメの言葉はどこかちぐはぐで、本当のナツメはあの時弾いていた曲にこそあるんじゃないかと和大は思った。そんなナツメの満たされない部分を埋める事ができるものに、河辺が言うような適当な関係は、ないような気がした。

「俺が何年ナツメを見てきたと思ってんだよ」
「何年なんすか」

 挑むように、問い掛けた。その物怖じしない和大の態度が気に入らないのか、河辺は浮かべていた笑みを解き、苛立たしげに和大を睨み見た。

「八年。その間何人も自分ならナツメを変えられるって言ってたヤツがナツメを束縛しようとしてダメんなってくのを見た」

 ――ナツメを変える。

 彼を変える必要があるのだろうか。

 河辺の言葉に感じる違和感。和大は何も答えずに、ただ河辺を見返した。





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コメント
和大
何かカッコイイスね!(*´∀`*)
高校生なのに、何か、河辺より大人な感じww
初恋がそう成長させたんすかね~♪

ガキの挑発に乗っちゃう河辺、カワユス( ´艸`)ムププ♪
2008/12/27(土) 00:20 | URL | 柚子季杏 #-[ 編集]
初恋の時とは別人wwww
>柚子季てんてぇ(*´∀`)

オトコノコの成長って2年あればきっと…
こんくらいの変貌は遂げられます…よねてんてぇ(;´Д`)
好きになる相手の好みが一貫してる(年上芸術家肌w)だけで
別人のようですwwwww

河辺は河辺で実はナツメをスキ、という体でお送りしてますが
ここではやっぱり当て馬タンです(*´∀`)
なんだかワケワカランよな展開な気がしますがダイジョブでしょか
引き続きお付き合いいただければウレシスです(*´∀`)

2008/12/27(土) 15:30 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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