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すべては愛のためだろ?(5)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 先日七月に会ったオフィス。あれから何度か集荷に来ていたが、今日まで淳汰が七月に会う事はなかった。

「――山井さん」

 今日もいつものように屈んで荷受け作業をする淳汰の背後から、淳汰を呼ぶ声がした。淳汰は振り返り、その声の主を見上げた。

 七月だった。

「あ、はい……ども、お疲れす」

 立ち上がって会釈する。この日の七月は、最初から匂い立つような色香を淳汰に見せつけるように身に纏っていた。

 そういえば今日はまた、総務部に人がいない。

 あれから何度か来た集荷の際には、誰かしら人が残っていた事を思い出す。七月がこのタイミングを待っていた事に思い至って淳汰は僅かに背筋が寒くなる思いがした。それと同時にこんなにいかにもな雰囲気を持つ七月でも、周囲に気をにするように話題を選んでいる事に少し驚き、そして同じ嗜好を持つ淳汰にしか分かち合えない、根底は同じなんだと思わせる何かを感じた。

「あれから聡士に会った?」

 少し距離を詰めて、七月が話かける。淳汰はたじろぎながらもその雰囲気に一歩引く事もできずに立ちすくんだ。

「ええまぁ、はい」
「連絡欲しいって伝えてくれた?」
「はい、一応……」
「何か言ってた?」
「……『ふーん』、と」

 伝えた時の聡士の反応をそのまま伝えた。七月の様子から見て、聡士から何の連絡も行っていない様子に少し安堵し、けれども聡士の不義理とも取れるその対応にもまた少し小さな疑問が淳汰の奥底で燻る。

「それだけ?」
「はい」
「そう……」

 七月は平静に見えるが、待つ身の時間は刻々と、ゆっくりとしか流れないだろう。七月のおそらく寂しいであろうその気持ちを思い遣ると、このまま済ますわけにはいかない。

 淳汰は意を決した。






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聡士×淳汰





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コメント
淳汰、何を決意したのか?
色っぽいフラグを下手に刺激しては...?
つーか、この元タチ(今も?)青年、なんとも言えない好い受けですよね~ww
ニヤニヤしながら読ませて頂いていますvv
2009/02/20(金) 13:07 | URL | 蛍 #-[ 編集]
あいや大したことではw
>蛍さん(*´Д`)

大したことではないですw
今夜更新で明らかになりますが
聡士に彼氏が出来たと七月に打ち明けるだけのアレでしてアワワワw

淳汰、24/7の頃からは考えられないほど
真面目な青年になりつつありwwwwwww
元タチ青年、
いつまで経っても使えそうにない凸を持て余しそうすw
他所で使っちゃう前に…!

とか言いつつそんなに長い話にもならなさそうな
気がしますw
引き続きのお付き合いよろすくおながいしますv
2009/02/20(金) 21:36 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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