すべては愛のためだろ？（13）

　週の半ば、水曜日。今日は偶然、配達荷物の量も集荷の量もいつもより少なかった。時刻は午後六時過ぎ。夜間指定の配達物を届けるにも、集荷に巡回するいくつかの会社に入るにもあと少し時間を置いた方が良かった。

　淳汰は時間が余るといつもそうするように、道路脇に車を停めて少し休憩することにした。それから休憩をいつもより早目に切り上げて、少し早めだが七月が働くオフィスに集荷へ行こうと思った。

　早く行けば総務に人が残っている可能性が高くなる。総務に人がいれば七月が出てくることもないだろう。聡士と関係を持ったことがあると言うだけでも避けたい相手なのに、七月はその聡士から連絡が欲しいと言っている。更には淳汰にまで誘いの声が掛けられていた。淳汰が会いたくないと思うのも無理はなかった。

　路駐のし易い場所はもう熟知している。その中で七月のオフィスに一番近い場所に向けて車を走らせる。何台かの路駐車が並ぶ道路脇の空きスペースを探して速度を落としたその時、少し離れた前方の歩道を歩く、見慣れた背中を見つけた。

　――聡士。

　嫌な予感がした。

　迷いの感じられない歩調。その目的地は恐らく、七月のオフィス。後を尾けたかったわけではないが、不幸にも目的地は淳汰も同じだった。聡士を目で追いながら、その少し後ろをゆっくり車を走らせていると、不意に聡士が路地に入った。

　――あー、ヤベェ……。

　車は進む。路地は少しずつ近付いてくる。その前を通り過ぎる時、そこを覗き込むか否か。ごく僅かの葛藤。

　そして。

　そこで何が起きているか知りたいという欲求には勝てなかった。







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聡士×淳汰





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