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偏愛エレジー(33)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「……尚大は?」
「――え?」
「今日は、どしたの」
「んー……、……」

 尚大が先刻店で言っていたことを言葉通りに受け取ったわけではない。

 確かに感じた、尚大の震える心。

 聞けばまた、位織自身傷付くかも知れない。けれどもそれで、位織の望みは繋がるかも知れない。

「……こないだの、彼?」
「んー……うん」

 それもあるかな、と苦笑した尚大から、寂しげな煙が零れる。

「……ついこの前フラれたっつうから慰めてやったとこなのに……」

 フラれた。慰めてやった。その言葉の一つ一つに詳細を求めてしまいたくなる。あの店で、あの一瞬でその場にいた誰もを魅了した彼が。尚大に想いを寄せられる程の彼が。フラれたなんて――何故。それを慰めたというのはもちろん、身体も含めて、なのだろう。

 ちくり。

 予期した通りの胸の痛み。

 あまりに予想と違わぬ感情の波が押し寄せるその様に、哀しい笑みさえ零れそうになる。

「もう新しいオトコと一緒にいてやがんの。……いつものことなんだけど」

 尚大が気怠く笑って、肩を竦ませた。

 ――尚大と俺は今きっと、すごく似た感情を持って生きてる。

 身体の繋がりはあるのに、想いは伝えられない。無理に想いを遂げようとすると、今ある関係が壊れてしまう。

 尚大と位織を繋ぐ、哀しい共通点。尚大の痛みを理解し得る位織だからこそ今、二人時を共にすることができるのかも知れない。

「色々あるね」
「――だね」

 二人顔を見合わせて少し、笑いあった。

「俺でよければいつでも呼んで。……今日みたいに」
「ん、ありがと、位織さん」

 尚大が唇を寄せた。

 ――今のこのキスは、俺のためだけのもの、だよな尚大……。

 尚大の、この唇を忘れないように。

 位織はそっと目を閉じた。



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尚大×位織

関連:和大×ナツメ 




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コメント
秘密拍手コメでし(*´∀`)まりがとんございます(´Д⊂ヽ
>秘密拍手コメYさん(*´∀`)

あいー尚大若さ故自分に本当に合った相手が分からずに
私的には多分尚大は「付かず離れず見守ってる」それに
酔ってるっていうか
ナツメにそういう人間も要るって事に重きを置いてる?
みたいな、そんな感じ(どんな)でし(*´∀`)
まだしばらくまたーりと続きますが、
最後までのおつきあい、よろしくおながいいたします!

*********************************************

>秘密拍手コメiさん(*´∀`)

あい(*´∀`)二人の関係はこんなカンジで固定でし(*´∀`)
あとはまったりと、位織が鬱々と日々を送るだけです(;´Д`)
どこに行けば盛り上がりがあるんだろう、なんてふと
オノレのプロット的なモノ(ほぼ脳内)を考えてみて
ヤベェ(;´Д`)ってなってしまいますたアセアセ
友永はイイ人設定で終わらせる方向で今書き進めてますw
どうしても自分の書くキャラに悪人を作りたくない
冒険できない書き手でし(;´Д`)
こんなに少量更新なのに毎日アワアワアップアップで
そんでもってorzな日々でお恥ずかしいす
必ずなんとか完結までもってきたいと!思います!
引き続きのお付き合いよろすくおながいいたします!ヒラに!セツに!

2009/04/29(水) 00:21 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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