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偏愛エレジー(39)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 友永は、位織が再び顔を上げることができるまでずっと、黙ったまま隣に座っていた。

「この先もし困ったことがあれば、いつでも相談して下さい。私ならきっと力になれると思いますから」

 ようやく顔を上げた位織に、友永はごく穏やかな表情で位織にそう言葉を掛けた。友永の申し出に、それはできない、と思いながら、それでも位織はありがとうございます、と礼を言った。位織が困った時に、友永が持つ権力を使うことさえも厭わないという友永の想いは、素直に嬉しかった。

 家まで送りましょう、と言う友永に、丁重にそれを断って、位織は一人、研究室を出た。

 中庭から大学前のバス停までの道沿いはずっと、染井吉野の並木道になっている。入学式を数日前に終え、満開だった桜の花はその役目を終えたようにはらはらと、静かに花弁を散らしていた。

 実を結ぶことなく散ってゆく桜は、人を想っても報われない恋をする自分とどこか似ているような気がした。

 桜は一体誰を想いながらその花弁を静かに散らすのだろう。

 ならばせめて自分も、いつかこの恋を終える時が来たなら、その時はこの桜のように静かに散りたいと、位織は一人心に願った。







「お疲れ竹内。まだ残んの?」
「んーうん、さっきちょっと数値入れ替えてみたから。結果見てから帰る」

 午後九時。梁瀬(やなせ)が位織に声を掛けた。

 位織の同僚である梁瀬は、同期入社ということもあり気心知れた仲だ。学生時代の研究分野が違うため、同じ研究チームで発電所の開発にあたる梁瀬からは得るものが多かった。また梁瀬にとってもそれは同じようで、近くの定食屋や居酒屋で、時折夕食を共にしながら仕事について語り合うこともあった。




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尚大×位織

関連:和大×ナツメ 




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どこまで生きるか、新キャラ出してみますたアセアセ(;´Д`)


コメント
すごいなぁ~
歩&慎治のところ読みました。ベラさんがすごい小説書いていることがわかってほんとうに感心してほんとうに癒され、感動しました。小説書けるのってすごいですね。自分には逆立ちしても出来ないです。

  尚大&位織の続き、大人の波打ち際が気になるところです!!
2009/05/07(木) 00:09 | URL | よみ手 #-[ 編集]
あわわわわわいやいやいやいやいやいy……まりがとんございますあわわわ
>よみ手さん(*´∀`)

あゆしん番外(超定番お決まりパターンw)もお読みいただき
まりがとんございましたーっ(*´∀`)
すっすすすすすっいいいいいい癒っ癒しっかかかかかか感動っ!
ああああああああすいませんまりがとんございます(´Д⊂ヽ
小説、と読んで良いのかも分かりませんこの駄文ではありますが
そんな勿体無いまでのお言葉いただけてほんと
ウレシスでし~~~~っ。・゚・(ノД`)・゚・。
まだまだ書けてると言うには程遠いレベルのものだと
自分ではいつも思ってorzとなってますが
こゆウレシスなお言葉いただくとたまにはちょっとは
小マシなモノを書けるようになってきたんかな、とか
思ってしまいますがダイジョブでしょかーーっ!

大人の波打ち際、なんてステキな言葉ですか!
今夜の更新から尚大×位織は26×29(まもなく30)になってますが
まさに大人でし! ちゃんと纏まるか不安でし(私が)(;´Д`)

ありがとうございますよろしければ今後ともお付き合いよろすくおながいしますですm(_ _)m
2009/05/07(木) 23:48 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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