Sometime Butterfly（38）

　ギャラリーに展示された写真とともに小さく写る人物は、粗い新聞印刷では細かな表情までは分からないが、それが七斗だと言うことは見間違えようがない。

　驚きに心臓が高鳴り、鼓膜にうるさい程に響く。何より七斗が選んだ被写体が『蝶』であることに何かを感じずにはいられなかった。

　七月は夢中で読み進めた。


　――『子供の頃兄貴と畑で捕まえた青虫を蝶に孵したことがあるんです』

　それ以来蝶に魅せられてきたという。

　美しく、可憐で、気高くさえある蝶の姿を求めて、写真を撮り続けた。

　けれども彼の切り取るその瞬間は、生きることはただ美しいばかりでないことを思い知らされる。その厳しさ、生まれることでそれぞれが背負う運命のようなものまで考えさせられる。

　それはもしかしたら我々も同じなのかも知れない、と。――


　記事によると、七斗は専門学校在学中、芸術写真を学びながら、昆虫写真家の川野氏に師事し、その助手として山野を巡り、昆虫写真のノウハウも学んできたという。


　『触れてみようと手を伸ばせば、ひらりと交わしてまた飛んでゆく。無理に捕まえようとしてもその羽は、この手にわずかな鱗粉を残してまた去ってゆく。この手に留まることが叶わないならせめて、写真に残して自らの中に留めておきたい』

　記事は七斗のそんな呟きのような言葉で締められていた。



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新聞記事って、こんな感じですか(；´Д｀)
そして新聞の引用の表記方法が分からない；；；
調べて後でまた訂正しますアセアセ