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誰もがきっと、誰かの。(66)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「――あれ?」

 生を見つけた彼が、予想外の先客に驚いた様子で立ち止まる。これは誰なのかと問うように、彼は後から来た貴史と生を交互に見た。

「あー……生、こいつ、小池七月。一緒に仕事してる。んで七月、彼は吉森生、さん」

 俺だけコイツ? とぴくりと片眉を上げて反応し、唇を少し尖らせてみせるも、まあいっか、とすぐに笑みに変え、七月は生を見た。

「あの、初めまして。吉森生、です」
「イクル? 漢字、なんて書くの?」
「生きる、って漢字の一文字、です」
「へえ……いい名前。俺は七月。暦の『しちがつ』って書いて七月。ナヅキって呼んでくれたらいいよ」
「あ、はい」
「ピザ持って来たから。良かったら一緒に食べようよ」
「はい……ありがとう、ございます」

 畏まる生にくすりと笑って、七月は持っていた箱と袋を流れるような仕草でテーブルに置いた。

「コーヒーでも淹れる?」

 キッチンへ向かいながら、貴史が七月に声を掛ける。

「いいよ。ビール持って来たし。望木も飲まない?」
「俺はいーよ、今は」

 貴史のあとに続いて七月もキッチンへ向かい、取り皿とフォーク頂戴、と貴史の返事を待たずに戸棚に手を掛ける。

「生は? コーヒー、俺飲むけど生ももう一杯飲む? それとも生もビール飲む?」

 キッチンから貴史が生にも問う。

「あ、じゃあ僕も、コーヒーを」

 了解、と言う声を聞いて、生はようやく椅子に腰を下ろした。

「ひょっとして、邪魔だった?」
「あ、いえ」

 食器を手にテーブルに戻った七月が、取り皿を並べて生の向かいに座り、生をじっと見た。

 昼前のこんな時刻にこの家にいる生のことを、ただの訪問者だとは思わないだろう。生が着ているのは貴史の部屋着だと、七月は分かっているのかもしれない。

「貴史のやつ、最近報われない片思いしてるっぽかったから一人だとばっかり思ってたよ。ごめんね」

 ピザ食べたら帰るよ、と生に軽く小首を傾げ、七月は袋から缶ビールを取り出してぷしゅ、とプルタブを引いた。


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コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!です(*´∀`)
>秘密拍手コメiさん(*´∀`)

わーっお久しぶりですiさん
きてくださってたんすねヨカタですーっ(´Д⊂ヽ
エヘ、七月ってば無意識なのか故意なのかw
半々くらいでの発言、ってカンジでしw
七斗とのこともあるんで
これでダメになるくらいなら
もともとダメな関係なんじゃ、くらいの気持ちでいるカンジでw

七月はそんなしょっちゅう望木の家に来てたんだろうか、とか
ちょっと思ったりしますが
長く友人関係保ってたなら
こんなカンジかなぁ、で書いてみますたw
望木と七月、この家でヤったこともある…かもすね\(^o^)/
七月は生的には聞きたくない情報を一杯持ってるすw
生、がんがれw
とか私まで思ってしまいますw
グダグダとまだ続きますが
引き続きのお付き合い、どぞよろすくおながいします!
あざした(*´∀`)
2009/12/01(火) 20:49 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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