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誰もがきっと、誰かの。(89)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「マジ? あー……、マズい」

 妙にばつが悪そうに、七月が顎を掻く。その真意が分からなくて、貴史は更に険しく眉根を寄せた。

「あ? 何がだよ」
「あ、いや……そんなの、マズいよね」

 七月の、何かを誤魔化すようなぎくしゃくした態度に少し引っかかりを感じはしたが、貴史が自分に気づいてさえくれない相手をストーカーまがいに見続けていたという事実に軽く引いたのだろう、と結論付け、自嘲するように笑って一つ、頷いた。

「――だろ? マズいよな。だからもういいよ。とりあえず今は仕事頑張って、恋愛は来世頑張れ、だよ」
「や、ええと」
「もういいって」

 最後の言葉はどこか投げやりに呟いた。まだ僅かに何かを言いたそうにしている七月を無視して、貴史は新しいフォルダの作成にかかった。







 ラクトから企画書の提出を求められてから丸五日、生はそれに没頭した。

 ラクトでのミーティングを終え、社に戻るとすぐ上司の山中に話を通し、山中と改めて先方へ挨拶に出向いた。

 けれども大まかな内容で出した企画が社内で通って以来、山中は、お前がもらった話なのだから、と生を信用し、全てを生に任せてくれた。

 山中の言葉によって仕事面に置いてまで底に落ちた三週間前の状況から一転、今はその彼からも認められ、求めれば助言を得られるまでになった。

 ラクトとは、先方の希望をヒアリングしながら、貸与に使用するウェアの選定と価格の折衝、ラクト以外とでは使用済みウェアを回収、洗濯するクリーニング業者の選定、その他こまごま、いずれも生ひとりで準備を進めてきた。

 日中は対外的なことに、定時を越えてからは社内で企画書の作成に時間を費やし、あるいは資料を自宅にまで持ち帰り、資料を眺めながら眠りに落ちる日々だった。



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コメント
両思いなのに切ないですね
手を伸ばせば届くのに、
あと少しですね
切ないです。
またまた、貯め読みに参りました。
クリスマスイブですね
二人にもいいことがありますように

そして、べら様にも・・・

MerryChristmas!
2009/12/24(木) 21:25 | URL | Rink #ngFZG5b6[ 編集]
ウジウジ君なふたりですいませんです(;´Д`)
>Rinkさん(*´∀`)

これを書いてるうちに
リアルでも流れがうまく行かないことで
想い合ってるのにくっつかないカプって
なんか結構いるんじゃないか、って気がしてきますたw

このふたりはただ今梅雨明け真っ最中w
季節感ゼロですいませんアセアセ
完結は年越しケテーイすアワワワ
こちらはも少しいやもしかしたらまだまだ
またーりやらせていただきますw

引き続きのお付き合いよろすくおながいします(*´∀`)

そして
Rinkさんも(*´∀`)
遅ればせながら
メリークリスマス(*´∀`)
シアワセをありがとございます(*´∀`)σ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜
2009/12/26(土) 15:03 | URL | ベラ #-[ 編集]
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