ただ、それだけ。（16）

「工事の方も順調そうだね」

　今日も野田が最初に注文した鶏の唐揚げを食べながら、野田は穂積に淡い笑みを向けた。あと彼が注文したのはバターコーン、オムレツ、ソーセージ盛り合わせ。野菜も食べた方が良いかな、とホウレン草のバター炒め。穂積は野田の好みは把握した、と微笑んだ。野田は、要は所謂子供舌なんだろう。そういえば、社食でもよくカレーを食べている姿を見掛ける。

「そすね。あとは事故のないようにだけ現場には。口酸っぱくしてお願いしてきました」
「だね。事故あると、色々厄介だしね」

　完成も遅れるし、と野田はしみじみ頷いた。




　今夜は二人、当たり障りない話題を探りながら、ややもすれば際どくなりそうな空気を意識して避けた、そんな時間をじりじりと過ごした。

「それじゃ……」

　前回とは打って変わり、しっかりとした足取りで自ら歩いてホテルの部屋まで戻った野田が、隣室へと戻る穂積に部屋の前で小さく手を上げた。

「はい、お休みなさい。お疲れ様でした」

　穂積は野田に緩い笑みを向けて、自室へ戻ろうと軽く会釈した。

「穂積……」

　野田が、穂積の名を呼んだ。

「はい」
「……、……いや、なんでも」

　――落ちた。

「野田さん」

　穂積が野田に向き直ると、野田は驚いたように俯いていた顔を上げた。

「今から野田さんの部屋に行っても良いですか」

　野田の頤(おとがい)に手を置いた。野田はびく、と身体を強張らせた。そのまま顎のラインを指で辿り、顎先まで来ると、野田の顔をほんの少し上向かせ、そして手を離す。

「ぁ……」
「俺から誘ったんです。俺の所為にしてもらっても構いませんよ」

　小さく震えながら穂積の手に素直に従う野田に、穂積は満足げに笑った。

「……、……」

　野田は無言で部屋の鍵を開けると、穂積を中へと促した。





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よーするに穂積、野田のヘルメット姿に萌え萌えすｗ

このあとのエチは描写なしで話続けよかと思うんですが、
エチ描写ありのがよろしすでしょか。迷い中す。