そばにいるから。（10）

　――んなはずねーか。俺が誰と付き合ってようと……だってサトルは。サトルは歩さんの事が。

　自分で至ったその考えに、自分で傷付く。

「だから俺、京都に」
「ハルカっ」

　立ち上がった学が悠の手首を掴んだ。横を向き、棒だけになったロリポップを苛立たしげに床に吐き捨てた。こんな時なのに、学に触れられた手首から熱が生まれて泣きたくなる。

　――早く、何か話さないと泣きそ……。

　渇いた喉。口の中には何もないのに、ない唾を飲み込んで、悠は顔を上げた。

「サトルこそ、歩さん追いかけて同じ大学行くつもりなのかよ？　いくら真似したって、歩さんは慎治さんのものなんだろ？」
「あーちゃんは、特別なんだよ。ハルカにとやかく言わせねぇ」
「サトルもいつまでも叶いそうにねぇ事ばっか言ってないでさ、もうちょっと現実見……っ」
「うっせえ」

　学に胸座を掴まれた。

「あーちゃんとヤんのが現実的じゃねぇっつうならさ、じゃあハルカ、ヤらせろよ。お前となら現実的だろ？　店長と付き合ってるとかさ、なんなんだよお前」

　――サトル。俺は、修至さんとは。……つって何を言っても、言い訳にしかなんねーか。修至さんと付き合ってんのは事実だし。

「いーよ、ヤれよ」

　――『あーちゃん』の代わりでも。サトルをこの身体で感じる事ができるのなら。……ヤれよ、俺を。

　挑むような目線で答えて、学の胸座を掴み返した。引き寄せて、悠の方から噛み付くように唇を重ねた。








←９へ　/　→11へ
←１から読む


野田学について(*´∀｀)

叔父：野田歩（あーちゃん）
父　 ：野田進
『野田学、10歳。好きな人がいます。 』

↑よろしければ合わせてドゾー



にほんブログ村

↑ランキング参加中す。よければポチっと押してクダサイ
書く意欲に繋がってます。