そばにいるから。（15）(R15）

　倉本に優しく求められて、それでも応じる事がなかった場所が、学にいとも容易く壊された。

　大事に取っておこうと決めていたわけではない。けれどももし、学と「アリ」なら、自分は抱かれる側だろうと思っていた。叶わないと分かっていながら、学に抱かれたいと密かに願わずにいられなかった浅ましい己の身体。学と身体を繋いだ今、そんな生ぬるい願いは幻想でしかなかった事を思い知る。

　学と一緒に柔らかな光に包まれた優しい朝を迎えてみたかった。幸せで泣きたくなるようなキスがしたかった。

　それももう、想い描く事すら許さないと、悠に向けられた背に言われているような気がした。


　――心臓まで、イったかな。

　痛い。どこよりも、胸が。

　でも。

　丁度良かった。これで取るべき道は決まった。――修至さんが許してくれればの話だけれど。

　悠は泥のように重い身体を起こして立ち上がった。背後から学の吐いたものが流れ出てくる感触を、小さく眉を寄せて堪え、それをティッシュで拭った。俯く学を横目に投げ捨てられていたズボンと下着を拾い上げ、のろのろとそれらを着込む。脱がされてもいなかったポロシャツは、裾を引っ張るとすぐ見た目は普段通りに戻った。

「……帰るよ。バイバイ、サトル」

　――バイバイ。

　床に転がっていた白い棒をそっと拾い上げ、ティッシュと一緒にゴミ箱へ捨てた。

　ベッドに凭れて座る学からは、俯いたまま何の返事もなかった。





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野田学について(*´∀｀)

叔父：野田歩（あーちゃん）
父　 ：野田進
『野田学、10歳。好きな人がいます。 』

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