「ありがとうございました」
午後十一時を少し過ぎ、最後の客を一礼と共に見送った悠は、閉店準備に取り掛かった。
椅子を一つ逆さに向ける度、緊張が高まってゆく。今日初めて悠の方から、倉本にこの閉店準備を申し出た。それは即ち悠自ら倉本の部屋へ行きたいと申し出たに等しい。
全ての椅子を上げ終えて、着替えを済ませた悠はいつものように一日の売上をノートパソコンに打ち込む倉本の傍らに立った。
午後十一時を少し過ぎ、最後の客を一礼と共に見送った悠は、閉店準備に取り掛かった。
椅子を一つ逆さに向ける度、緊張が高まってゆく。今日初めて悠の方から、倉本にこの閉店準備を申し出た。それは即ち悠自ら倉本の部屋へ行きたいと申し出たに等しい。
全ての椅子を上げ終えて、着替えを済ませた悠はいつものように一日の売上をノートパソコンに打ち込む倉本の傍らに立った。
「お疲れハルカ。もうちょい待ってな」
「うん……」
このあと自分を抱くであろう倉本の、コーヒーの香りが染み込んだ手をただじっと見詰めて、悠は倉本を待った。
「ハルカ」
倉本の部屋に入ってすぐ、悠は倉本に抱き締められた。その腕の強さに戸惑いながら、悠は倉本の腕に身体を預けた。
「キス、良い?」
「ん……」
悠が小さく頷く。倉本は悠を抱き締める腕を緩め、悠の顎に手を掛けた。悠は少し上を向かされ、そしてゆっくりと、唇が重なる。倉本の、いつもの優しいキス。倉本の舌が悠の唇をなぞり、そっとその唇を開くよう促される。
昨日初めて知った、学の荒々しいキスの記憶が不意に甦る。痛みは残っていないはずなのに、学に歯を立てられた舌がじん、と痛んだ。
――だめだ、泣きそ……。
悠は目を閉じた。
このままこのキスは深くなってゆくのだろうという悠の予想に反して、近付いた時の速さと同じ、ゆっくりとした速度で倉本の唇が離れていった。倉本が悠を覗き込む。
「ハルカ、話あって俺んち来た?」
「……、うん」
「先、聞こうか」
座れよ、と床に促された。
単身者向けマンションの倉本の部屋はそう広くなく、一部屋に全ての物が収まっていた。飾り気のないその部屋にあるものは最低限の家具と家電。それなのにカフェ関連の資料と思われる雑誌や本だけは、一般的な一人暮らし男性のそれより、部屋に占める割合は明らかに大きかった。
床に腰を下ろした悠に倉本はソーダ水の入ったグラスをその傍らに置き、倉本自身はジンの入ったグラスを持って床に座った。立て膝で座った倉本がグラスを傾けると、グラスの中でゆっくりと溶ける氷がカランと小さく鳴った。
←24へ / →26へ
←1から読む
野田学について(*´∀`)
叔父:野田歩(あーちゃん)
父 :野田進
『野田学、10歳。好きな人がいます。 』
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「うん……」
このあと自分を抱くであろう倉本の、コーヒーの香りが染み込んだ手をただじっと見詰めて、悠は倉本を待った。
「ハルカ」
倉本の部屋に入ってすぐ、悠は倉本に抱き締められた。その腕の強さに戸惑いながら、悠は倉本の腕に身体を預けた。
「キス、良い?」
「ん……」
悠が小さく頷く。倉本は悠を抱き締める腕を緩め、悠の顎に手を掛けた。悠は少し上を向かされ、そしてゆっくりと、唇が重なる。倉本の、いつもの優しいキス。倉本の舌が悠の唇をなぞり、そっとその唇を開くよう促される。
昨日初めて知った、学の荒々しいキスの記憶が不意に甦る。痛みは残っていないはずなのに、学に歯を立てられた舌がじん、と痛んだ。
――だめだ、泣きそ……。
悠は目を閉じた。
このままこのキスは深くなってゆくのだろうという悠の予想に反して、近付いた時の速さと同じ、ゆっくりとした速度で倉本の唇が離れていった。倉本が悠を覗き込む。
「ハルカ、話あって俺んち来た?」
「……、うん」
「先、聞こうか」
座れよ、と床に促された。
単身者向けマンションの倉本の部屋はそう広くなく、一部屋に全ての物が収まっていた。飾り気のないその部屋にあるものは最低限の家具と家電。それなのにカフェ関連の資料と思われる雑誌や本だけは、一般的な一人暮らし男性のそれより、部屋に占める割合は明らかに大きかった。
床に腰を下ろした悠に倉本はソーダ水の入ったグラスをその傍らに置き、倉本自身はジンの入ったグラスを持って床に座った。立て膝で座った倉本がグラスを傾けると、グラスの中でゆっくりと溶ける氷がカランと小さく鳴った。
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野田学について(*´∀`)
叔父:野田歩(あーちゃん)
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コメント
萌え悶えてる場合じゃナカターーー!!
(だってあのやり取りがあぁぁぁあ!堪りません。ニヤリ)
あぁ~はーちゃん、うぅ。
きっと倉本さんは好い人のまま終了でしゅよね?
良かったのか悪かったのか・・・取り敢えず倉本テンチョ、可哀想に(笑)
学はどの段階で辿り着くのかドキドキっす(//∀//)
(だってあのやり取りがあぁぁぁあ!堪りません。ニヤリ)
あぁ~はーちゃん、うぅ。
きっと倉本さんは好い人のまま終了でしゅよね?
良かったのか悪かったのか・・・取り敢えず倉本テンチョ、可哀想に(笑)
学はどの段階で辿り着くのかドキドキっす(//∀//)
キャッチーさを狙ってみますた。さとはる。アヒャ(AA略
>柚子季さんv
あゆしんはこのままおっぱじめてるかと思いますがw
あとは若者二人、がんがらないといけませんです(汗(私が
倉本タンはイイ人で終わりますw
本人無自覚ですが本当の自分が悠相手じゃ出せてないので
いずれにしてもこの恋愛は倉本には成就させてはいけない恋愛なんですとかいつもの脳内設定wwwwwwww
あとなんとなく「あー多分自分じゃだめなんだろなー」みたいな感じはいつも持ってたはずなので
もうご都合設定的にアッサリとvオワタ(AA略w
柚子季さん色々ありがとうございますー!!
すいません頂き物置いて実家来てしまいますた(涙
>柚子季さんv
あゆしんはこのままおっぱじめてるかと思いますがw
あとは若者二人、がんがらないといけませんです(汗(私が
倉本タンはイイ人で終わりますw
本人無自覚ですが本当の自分が悠相手じゃ出せてないので
いずれにしてもこの恋愛は倉本には成就させてはいけない恋愛なんですとかいつもの脳内設定wwwwwwww
あとなんとなく「あー多分自分じゃだめなんだろなー」みたいな感じはいつも持ってたはずなので
もうご都合設定的にアッサリとvオワタ(AA略w
柚子季さん色々ありがとうございますー!!
すいません頂き物置いて実家来てしまいますた(涙
2008/09/14(日) 08:37 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
倉本テンチョが、悠といてもなんとなく不安だったり
自分じゃダメだと感じてたりするっていう設定、
やっぱりそうだったんだ!
うすうす感じていたことがはっきりしてスッキリしました(’v’*)
さとはるを応援している身としては、ホッとしたりして
しかしテンチョが本当の自分を出すとどんな感じなんですかねっ
ベタベタ甘えたがりのワンコでしょか?( ̄ー ̄)ニヤ
妄想モード入りましたっwwwww
自分じゃダメだと感じてたりするっていう設定、
やっぱりそうだったんだ!
うすうす感じていたことがはっきりしてスッキリしました(’v’*)
さとはるを応援している身としては、ホッとしたりして
しかしテンチョが本当の自分を出すとどんな感じなんですかねっ
ベタベタ甘えたがりのワンコでしょか?( ̄ー ̄)ニヤ
妄想モード入りましたっwwwww
2008/09/15(月) 06:34 | URL | カサンドラ #mQop/nM.[ 編集]
>カサンドラさんv
もともと悠に好きな人がいるのを知っての上での
付き合いだったのを今思い出しました!wwwwwww
それでも自分の手元にいてくれるなら、と
優しく悠を見守ってきたけどやっぱりwみたいな感じすwwwwworz
またしても悠の説得に四苦八苦あああああああ
またこんな感じでダイジョブでしょかあああああって
キモチ悪くて吐きそうですんぉーーーーー
店長脳内設定ではその真逆ですw
本当は若干Sっ気アリ設定w
優しいだけの付き合いはそれを完全に隠してるので
悠と付き合ってたらきっと近々破綻があった…はず(?)
ってワケでただ今店長京都編妄想中す
お目にかかれる日がもしあれば…ああああ話纏まりませんが
もしあればまたお付き合いよろすくおながいします!!!
もともと悠に好きな人がいるのを知っての上での
付き合いだったのを今思い出しました!wwwwwww
それでも自分の手元にいてくれるなら、と
優しく悠を見守ってきたけどやっぱりwみたいな感じすwwwwworz
またしても悠の説得に四苦八苦あああああああ
またこんな感じでダイジョブでしょかあああああって
キモチ悪くて吐きそうですんぉーーーーー
店長脳内設定ではその真逆ですw
本当は若干Sっ気アリ設定w
優しいだけの付き合いはそれを完全に隠してるので
悠と付き合ってたらきっと近々破綻があった…はず(?)
ってワケでただ今店長京都編妄想中す
お目にかかれる日がもしあれば…ああああ話纏まりませんが
もしあればまたお付き合いよろすくおながいします!!!
2008/09/15(月) 09:25 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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