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そばにいるから。(43)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 アルバイトの前に、悠は一度家に戻った。

 自宅マンションの玄関の鍵は開いていて、中に入ると母はレッスン中らしく、防音室からピアノの音と母のものではない歌声が漏れ聞こえてきた。母の教える生徒の声だろう。悠はそれを聞きながら、冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出してグラスにそれを注いだ。

 ダイニングに腰掛けて、昨日から床に置きっ放しだった指定鞄を拾って一枚の紙きれを出した。進路希望調査票。この紙切れ一枚をきっかけに、悠の全てが変わった。その紙を埋める文字に、もう迷いはない。

 ――サトルと。

 できるだけ長く。できるだけ近くで。でも譲れないものがある。

「あらハルカ、おかえり」

 レッスンを終えたらしい母が、彼女とさして年齢が変わらなさそうな生徒と共に防音室から出てきた。玄関から出て行く生徒をさよなら、と見送ってから、彼女も悠の前に座った。

「えと、……」

 悠を見詰めながら、黙って煙草に火を点ける母を窺うように話し掛けると、母は悠に続きを促すように眉と口角を上げてみせた。

「俺、卒業したら専門学校行こうかな、とか」
「……そう。あなたの学校からじゃ少ないんじゃないの?」
「うん。でも、俺には大学必要ないかな」
「そう」
「お金、要るけど。バイトもするから」
「そんな心配?」

 こう見えても稼ぎは結構あるのよ私、と自分によく似た顔立ちのその人は笑った。

「それよりもっと、言う事ない?」
「あーえと外泊、……心配した? よね」
「……ん」
「……ごめんなさい」
「ハルカ」

 母がテーブル越しに悠の手を取った。取った手をそっと握り、いい子ね、と彼女は優しく目を細めた。

 アルバイトに行くまでの道を途中まで、今夜歌う店に向かう母と一緒に歩いた。歩から母と共に食事に誘われている事を告げて、母と別れた。早めに出番終わらせるわね、と言葉を残して去ってゆく、立ち姿の美しい母の背を少し見送って、悠はあの人の息子に生まれて良かったと、心から思った。
 






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野田学について(*´∀`)

叔父:野田歩(あーちゃん)
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マターリし杉すいませwwwwww



 
コメント
【内緒のんv】拍手コメレスですv【あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!ございます(*´∀`)】
>o-iさんv

ハルママご支持あざす!!
BLにオンナ不要!!を主張する私が
一回更新分全部ハルママに費やしてしまいまんたorz
ステキ女子に仕上がってますでしょか
ほんとドキムネなんすけど
もうすぐ終わりってのもあるのか
なんか書きたいように書いてる感じします
(それはいつもでしたwwww)
進路希望票の話をしてたのはさとはる時間では前日の話なのに
コッチ時間ではかなり前の事すからwwwwwwww
忘れて当然なくらい前の話すからwwwwwwww
改めて数えてみたらエロに11日もかけていた事発覚、
ほんと自分でもビクーリですwwww
o-iさんの見つけたオシャレマッシュタン、見たいす(;゚∀゚)=3ハァハァ
私の見つけたのはまだもうちょいピンとキてないもんですから
他のキャラも見つけてイきたいすアッ――!

そしてレスこちらに纏めさせていただきますねん(*´∀`)
んもーーぜひ!都合つくならお会いしたいす(;゚∀゚)=3ハァハァ
今は携帯というスバラシスな文明の利器もありますんでぜひ!
2008/10/03(金) 00:08 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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