すべては愛のせいだろ？（14）（R15）

「おまっ、着けなかったのかよ……んっ」

　眉を寄せて抗議しようと身体を捻るとまた顎を取られ、行為の始まりの時と同じように唇が聡士のそれに塞がれた。そのキスが、一度目と違って酷く甘く感じて、何故か分からないまま胸がまたズキ、と痛んだ。

「中で出した」
「いつもんな事してんのかよ」
「いや、いつもは着ける」
「じゃあなんで」
「……出したかったから」

　聡士もそれ以上の理由が思い付かない様子だった。

　いつもの聡士の調子。軽いが、本能の赴くままに行動する裏のないその性格が淳汰は好きだった。それが今、一番腹立たしく感じる。

　このまま一緒に朝を迎えてしまったら。

　聡士の直感が淳汰に挿れたいと言った理由を問いただしたくなりそうだった。大勢いるだろうウケの知り合いでなく、なぜタチである自分だったのか。

　――俺と聡士でそんな空気とか。……有り得ねぇ。

　淳汰は一つ、溜め息を吐いた。

「もういいよ」
「何が？」

　力の入れどころが分からない下肢。腕の力で聡士の下から這い出した。一旦ベッドの縁に腰を下ろし、背後から滲み出てくる粘液をティッシュで拭い取った。

「帰る」
「えマジ？　なんか怒ってんのかよ」
「いや。明日普通に仕事だから」

　立ち上がってのろのろと服を着込みながら、お前に俺を引き止める権利はねぇだろ？　と言うように片眉を上げて聡士を見た。

「そか。俺は……寝てくかな。明日休みだし」

　伸びとともにあくびを一つ。聡士はぼすりとベッドに身体を落とした。





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↓二人がちょろっと出てくる話はコチラ
中野聡士→『にしがひがしに』
山井淳汰→『24/7(twentyfour-seven)』


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