すべては愛のせいだろ？（25）

「聡士、今イイ？」
『おう。てか俺もちょうどお前に電話しようかと思ってたとこでさ。お前、今家？』

「ん、そうだけど」
『今からそっち行くよ』

「え？　お前今……」
『会社帰りにちょっと飲んでたんだけど今終わるから。お前明日仕事は？』

「ああ、休み」
『じゃ問題ねーよな？　今から行くな。じゃ二十分後に』

「おい聡士、……あ」

　気付いた時には電話は切れていた。淳汰に選択肢などないかのように。有無を言わせずに決まった聡士の訪問。

　――用件は何だ。

　意を決して口説こうと思った相手が今から部屋に来る。こんなに都合の良い事はないはずなのに募る、不安。

　あの勢いで迫られたら。

　また強引に言いくるめられて、聡士にウシロを許してしまいそうな自分がいる。

「それで聡士が俺のモノになるならそれでももうイイんだけどな」

　――一回ヤられちまってるし。認めてしまえば悪くなかった、てかぶっちゃけ悦かったし。

　ただ、自分は耐え忍ぶタイプじゃない。聡士が他の男にまた手を出すのを黙って見過ごす事はできない。

　ヤられるなら、聡士を自分のものにしてからだ。そしてできるのなら、今度は。

　――俺が挿れて、聡士をヨがらせる。

　今思えば好きな相手だからこそウシロも許せたのだろう。けれどもやっぱり淳汰は好きな相手だからこそ、挿れたいと思う。

　じりじりと迫り来る決戦の時に備えるかのように、淳汰は残りのビールを一息に呷った。






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↓二人がちょろっと出てくる話はコチラ
中野聡士→『にしがひがしに』
山井淳汰→『24/7(twentyfour-seven)』


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