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Fly Me To The Moon(14)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 ナツメにとって一人の音楽室は一番落ち着く場所だった。外界から切り離された場所。学校の雑多な音も、ここにはあまり届いて来ない。

 それがこの二週間余り、ほぼ毎日訪れるようになった和大に、静寂だけのこの部屋の空気が穏やかに乱されている。

 和大が来なければ良い、と思いながら心のどこかでその訪問を待つナツメがいた。

 十も年下の男へ抱くようになった恋情を認めることに後ろめたさを感じるナツメの心は、自分でも予測不可能な程裏腹に揺れた。

 和大がこの部屋に入ると、喉の奥が渇える。和大が隣に立つと、肌がざわざわと騒ぐ。それを悟られたくなくて、言葉は、自然少なくなった。

 頬の傷の具合を見る度、ナツメの領域を破って和大の手が伸ばされた。一週間掛けてナツメの心をその手に奪われたのに、傷が癒えてから和大は、ナツメに触れなくなった。

 そのことが、ナツメを焦れさせていた。

 和大がどういうつもりでナツメと付き合いたいと言っているのか、ナツメには分からなくなっていた。

 部員たちが帰ってしんと静まり返った部屋。冬休みも近いこの時期の校内は、静かというだけで寒さが一段と増す。

 それでも誰もいなくなってナツメはやっとほっとする。一人になってピアノの前に座ったナツメはいつものように音を選んだ。

 学校の備品にしては年一度の調律は、手が掛かけられている方なんだろう。秋の終わりにそれを済ませたばかりのピアノからは、ナツメの思う通りの澄んだ音がした。

「――今日は何の音?」

 ピアノの前に座ると、ピアノの陰になって音楽室の入口が見えない。いつの間にか傍らに立っていた和大に、ナツメはそれでも驚く事なく顔を上げた。

「別に。何も考えてねーよ」
「――そ?」

 和大は片手で静かに椅子を運び、いつものようにナツメの隣、椅子の背を前に腰掛けた。




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コメント
【秘密拍手コメレス】【まりがとんございます(´Д⊂ヽ】
>秘密拍手コメiさん(*´∀`)

コメまりがとんございます(*´∀`)
こちらの話マターリやり過ぎなのか
エヘヘ色々折れそうです(゚∀゚)アヒャ
なのでコメいただけてほんとウレシスです(´Д⊂ヽ
ああああ合唱部!合唱部にするべきだったでしょか
コーラス部ってったらオニャノコしかいないイメージすね
コーラス部の名称のままでダイジョブでしょか
といってもこのあと多分部活について書くことない気がしますんですがアセアセ
先生を筆頭にやる気のない男子女子が集まるクラブ活動ってイメージすw
ちなみに私は高校では軽音ですたwガッツリバンドマンですた(゚∀゚)アヒャ
私も楽器をやるつもりはなかったのでヴォーカルやってますたですエヘヘ
今でも鉄壁の喉を持ってます(*´∀`)
どんなに嗄れててもマイク持てばシャウトキタコレでございますエヘ
(歌はそんなに上手くはないですw)

どうかどうか!こちらの和大×ナツメ、
お付き合いいただき暖かく見守っていただけると
ウレシスですありがとうございますたー!(´Д⊂ヽ


2009/01/03(土) 17:00 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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