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偏愛エレジー(47)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「――ごめん、梁瀬……」

 己の身勝手さに、打ちのめされる。

 梁瀬は、自分とは違う。

 想いが届かなくても、どんな形でも良い、身体を繋ぐことができればと、自分の本心を騙しながら尚大とただ身体だけを重ねてきた自分とは。

 けれども。

 そうしてでも想う相手が欲しいと思う、そんな気持ちもあるということを。

 梁瀬は理解るだろうか。

 じっと、立ちすくんで梁瀬を見た。

「そんな深刻な顔すんなって。俺はただ、傷はなるべく浅く済ませたいだけだよ。自分のことしか考えてねんだって」
「……ん、ごめん……」

 ――梁瀬の好意を利用しようとした俺を、梁瀬は笑って許してくれた……。

 位織は後悔と自己嫌悪に、小さく唇を噛んだ。

「なんで謝んだよ。俺まだフラれたワケじゃねんだろ?」
「ん……」

 それぞれが、抱える想い。

 どうして、うまく行かないことばかりなのだろう。

 少し、泣きたくなる。

「あ、男と経験ないからって、怖じ気づいてるワケじゃねぇからな? 竹内が俺のものになってくれたら、存分に分からせてやるよ」
「……ん」

 スゲェ自信、と位織が小さく鼻を啜って笑うと、当たり前じゃん、と梁瀬も笑った。








「――どうぞ」

 椅子を勧められ、尚大は少し落ち着かない様子でそこに腰を下ろし、居ずまいを正した。デスクを挟んで、向かいには友永がゆったりとチェアに座る。

 尚大は卒業以来初めて、母校である大学の、友永の研究室を訪れていた。

 学内の様子は相変わらずで、今日もグラウンドで体育会系のクラブがウォーミングアップをするホイッスルの音と掛け声が、遠く五階にあるこの部屋にまでのどかに届く。けれどもこの部屋の中は、そののどかさとは対照的にどこか緊張感で満たされていた。

「久し振りですね。学校はどうですか。最近の高校生はなにかと大変でしょう」
「ええまあ。それなりにやってます」

 少しかしこまった面持ちで、尚大が答える。

「確か河辺君の学校は進学校でしたか。受け持ちは何年生ですか」
「今年は三年なんで、色々油断できないですね」
「そうですか。大変でしょうけど、君ならきっとそれも難なくやってのけることができるでしょう。頑張って下さい」
「ありがとうございます」

 尚大は形ばかりの笑みを浮かべて、軽く頭を下げた。



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尚大×位織

関連:和大×ナツメ 




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位織と梁瀬のエピソード付け足し部分、ここまです。
被っていた45の後半部分、消しました。
二度お読み頂くことになった方には、大変申し訳ありませんです(;´Д`)





コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!です(*´∀`)
>秘密拍手コメo-iさん(´Д⊂ヽ

ヘコみ気味の言葉に励ましていただけたかのようなコメ、
連チャンであざす(´Д⊂ヽ
眠気に勝てず遅レスすいませんですアセアセ(必殺分割睡眠)
話の流れのザッツご都合主義で(私のw)
尚大を昔のオトコである友永の元へ向かわせましたが
昔のオトコのとこ行くくらいなら
さっさと職場行けよ、とかそんなツッコミは
書いてる本人が死ぬほど挿れてますんで
スルーしてやってくだたい(´Д⊂ヽ
でも一応位織の昔のオトコだと知ってるんで
あと位織に自分以外の相手がいることも知ってるんで
それがもしかしたら友永で
まだ続いてんのか、そんな確認も兼ねて、
みたいに思ったりもするんで
そのヘンは尚大のクチから位織に言わせて
なんとかツジツマ合わせたいと……ゴフッ
何も知らない尚大、友永の衝撃告白(?)に
真っ白になりながら位織の元へ(職場w)向かわせる予定でしエヘヘ
なんだかダラダラ少量更新で50話にまでイってしまいまアッ――!したが
引き続きのお付き合いよろすくおながいしますです!
コメありがとうございますたーっ(´Д⊂ヽ
2009/05/16(土) 03:52 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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