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恋の理由・ある夜の会話(3)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 思わず小さく噴き出した野本にさすがに気付いたらしい野田が、くるりと顔を野本に向けた。

「今日は飲もうな」

 目が合っても何も言わない野田にますます笑って、野本は野田にビールを掲げてみせた。野田はやっぱり無言で一つ、頷いた。

「お前、酒強ぇの?」
「どうかな。好きだよ」
「そう言う答え方するヤツって大抵強かったりすんだよな」

 野田との付き合いも二年と少し。けれども一緒に酒を飲むのは今夜が初めてだった。野本は居酒屋でアルバイトをする手前、酔った人間をたくさん見ている。大抵の人間は酒を飲むと多少なりとも変わる。

 野田は、どうなるんだろう。

 それを見届けて、記憶に留めるためにも自分はあまり飲んではいられないな、と野本は密かに思った。

「――でさお前」

 まずは一本。二人とも昼間の乾きを癒すようにビールを飲み干した。野田の結構なペースに僅かに驚きながら、野本は本題に入るべく口を開いた。

「雨だとなんで家帰んないとなんねぇの」
「んー……」

 野田は考え込むように宙を見上げたが、答えに窮している様子ではない。おそらくどう話すか、考えているのだろう。答えを待つ間に、はい、と次の一本を脇から差し出す。

「俺が雨がダメだから。だから慎治さんのことが心配になんだよ」

 野田は差し出された次の缶を受け取って、分かる? とでも聞いているように野本を見ながらビールのプルを引いた。

「慎治さん?」
「うん。一緒に住んでる人」
「なんで『さん』付け? 恋人なんだろ?」
「え? ……年上だから、かな。なんとなく」
「年上って、年の差いくつだよ」
「十」

 まずは相手の仕様(スペック)から。そう思って投げた問いに返った答え。その一つ一つに驚く。そしてそのあと野本を襲うのは落胆と、僅かな悔しさ。

 野田の恋人は男で、十も年上。

 ――同じ男なら、十も上のオッサンより、俺のがよくね?

 そんな苦々しい気持ちはもちろん口に出せるはずもなく、野本はその気持ちと同じく苦いビールを呷ることで腹に収めた。

 いつもより、ビールが苦い気がした。



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野田歩について:歩×慎治 
野本が歩に告った話    → 『瞳を閉じればあなたが、まぶたのうらにいることで』
歩が雨の中帰ってった話 → 『雨の日には抱きしめて、その腕で確かめて。』


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コメント
【今日も】秘密拍手コメレスでし(*´∀`)【まりがとんございます(*´∀`)】
>秘密拍手コメo-iさん(*´∀`)

あい(*´∀`)慎治オサーン扱いすw
この話の歩は21なんで、野本もそんくらいw
ハタチソコソコのコたちから見たら
30越えてたら完全にオサーンすね(゚∀゚)アヒャ
歩はにぃがいたからまだ免疫あるんすかねw
ていうか歩はきっと年上好きなんすね\(^o^)/
若けりゃイイってもんじゃない……ことを……
あああワタシは若いボーイズ(ゲイ)を眺めてたいす(←)
そんな私が野本に教えることができるでしょうか!
ハナハダ疑問ではありますが!
歩にとにかくノロケ(?)させようと思うす(*´∀`)



2009/06/25(木) 01:48 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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