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恋の理由・ある夜の会話(6)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 ――雨。

 だから雨がダメなのか、と思うと、聞いている野本まで少し、辛くなった。

「そん時俺を見つけて拾ってくれたのが、慎治さんなんだ」

 そしてまた、野田の表情が和らぐ。

 ――ここからは、あてられんのかな。

 それもいい。野田がこのあと本当に幸せだったというのなら。

 野本はいつの間にか詰めていた息をほっと吐き、ビールを呷った。

「――拾った、って?」
「慎治さんち連れて帰って、風呂入らせてくれて、……慰めてくれた」
「慰めて……」

 心臓が跳ねた。

 野田への恋を自覚してから、少なからず想像した。彼の無表情を、崩すことを。

「ん……。『兄貴の結婚式だった』って言っただけで、全てを察してくれた」

 ずっと思っていた。

 野田はあの無表情の下で、身体を熱くすることがあるのだろうか。

 あるならその時、どんな表情をするのだろう。

 ――高一、……。

 他人の手によってそうなることを、野田は高一で知っていたなんて。

 ――畜生。

 純粋に、悔しい。野田にでなく、その『慎治さん』に。

 その頃の自分を思い出す。まだ、野田の存在を知らなかった自分。それなりに好きな子もいたし、それなりに付き合って、それなりに段階も踏んだ。

 でも、相手は野田じゃなかった。

「それから慎治さんとは……付き合ってたよ。高二の終わり頃まで」
「……高二の終わり?」
「うん。突然慎治さんが『もう来るな』って」
「なんで……?」
「『俺がコドモだから』って、言われた」
「そんなの、……」

 ――最初から分かってたことだろ?

 十も年下なんだから、当たり前だ。そんなことを言って野田を傷つけるくらいなら、最初から野田に触れないで欲しかった。慰めたと言ったって、結局傷つけたのならその刹那の自己満足に過ぎない。

 言い様のない憤りに、胸が詰まった。

 ――みろよだから、十も上のオッサンなんか……。

 やめときゃ良かったのに。

 いつの間にか空になっていたビールの缶。

 くしゃりと握り潰した。



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野田歩について:歩×慎治 
野本が歩に告った話    → 『瞳を閉じればあなたが、まぶたのうらにいることで』
歩が雨の中帰ってった話 → 『雨の日には抱きしめて、その腕で確かめて。』


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コメント
秘密拍手コメレスでし(*´∀`)あ(・∀・)り(・∀・)が(・∀・)と(・∀・)う!ございマス(*´∀`)
>秘密拍手コメiiさん(*´∀`)

あいー(*´∀`)
歩はうちで『最もウケに見えるタチ』ですんで!wwwww
慎治でさえ最初見抜けなかったくらいすから
野本ごときに見抜けるはずもありませんです(゚∀゚)アヒャ
書いてるウチになんだか野本の反応がギャクみたいになってきて
どうしようかギャグになる寸前に切って今夜の更新にしますたw
なんだか書けば書くほど野本は
歩がドッチなのか気になって気になって
しょうがないカンジになってるんすけど
そこを前面に出すか
そこはぐっと堪えるか今すごい迷ってますw
迷っても明日の夜中にはまた更新すw
これじゃその次の話が詰めれないんすけど
それでも一日原稿用紙最低二枚の目標(少ないとかw言わないのw(´Д⊂ヽ)を守りつつ
やっぱりまったりやってきたいと思います(*´∀`)

同じコメ、二度いただいてます(*´∀`)
でもコピペじゃなくその都度打ち込んでいただいたんすね(*´∀`)
少し内容が違うので分かりますた(*´∀`)
眠い中そんなお手間をいただいけるなんてほんとに
ワタシ、シアワセ一杯です(´Д⊂ヽ
こんなカンジであと少し、
野本には焦れジレ悶々な夜を過ごしてもらいますw
お付き合いの程よろすくおながいいたします(*´∀`)


2009/06/27(土) 21:57 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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