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恋の理由・ある夜の会話(7)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「――そん頃の俺は、慎治さんが言った通り今より全然コドモだったから。慎治さんが言ってること、全然意味分かんなくて」

 聞いている限りでは野本にだって理解できない。今聞いたことだけで考えたなら、相手が野田に飽きたか、あるいは新しい相手ができたか。いずれにしても酷い話だと思った。

「逆上して俺、……最低なやり方で、慎治さんを傷つけた」

 野田が、手元をじっと見つめる。入学当時見た、心を閉ざしたような表情で。

 最低なやり方。

 ――なんだろう。

 刃物で刺しでもしたか。あるいは。

 精神的なやり方で傷つけたのか。

 気にはなるがもう、野本の方から促して野田から何かを聞き出せるような雰囲気ではなくなってしまった。

 ただもう、野田の姿が痛々しい。

 無理に聞き出すことではなかったかも知れないと、野本は今になって少し後悔した。

 入学当初の野田を見ていたなら、それが野田にとってどれだけ辛いことだったのか、考えることもできたはずだ。己の浅はかさに、自己嫌悪に陥る。

「夢中で慎治さんを傷つけて、……気付いたら、……慎治さんが、酷い姿になってた」

 ――ま、さか。いやまさかな。

 手の中で、野田が缶を弄ぶ。こん、と机に当たった缶の軽い音に、ビールが空になっていると察した。野本は三本目の缶のプルを引いて、野田にそっと差し出した。野田はありがと、とそれを受け取った。

「慎治さんのたったその一言であんなになるくらいに、俺は本当にコドモだったんだ。一番大事な人に、あんなこと……」

 焦点の合わない目で一点を見つめ、野田が自分を責めるように呟く。

「もう赦してもらえないと思った。それでも、どうしても諦めらんなかった、んだよね」

 新しい缶をぐい、と煽って、野田は手の甲で口元を拭った。



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野田歩について:歩×慎治 
野本が歩に告った話    → 『瞳を閉じればあなたが、まぶたのうらにいることで』
歩が雨の中帰ってった話 → 『雨の日には抱きしめて、その腕で確かめて。』


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コメント
改めて
こうやってあゆあゆの口から語られると、痛くて切ないですね…。
でもあのひと時があったからこそ、より深く慎たんの事を想える自分が形成されて、より深く慎たんの愛を感じられる自分になれたわけで。
無駄な時間は無かったんだよね~~とひとり画面を見ながらウルウルと(←キモっ!
やっぱりあゆしんはコチラの看板CPですよね♪
きゅんとなってジンときて、そしてやっぱりほんわかとなれて…好きだなぁ~このCP。
2009/06/28(日) 00:30 | URL | 柚子季杏 #-[ 編集]
なぞってるだけでほんとすいませんアセアセ
>柚子季てんてぃ(*´∀`)

歩かなり語り入ってるすね(;´Д`)
またおうち帰ったらしばらくしゃべんなくていいや、ってなりそす(;´Д`)
聞かれれば案外なんでもアッサリ答える
自分が慎治をゴカーンしたことさえw
人に話しし慣れてないので
どこまで話してどこから話さないかとかの線引きが
あんまり分かってないんないかもすw
あああああウルウルいただけましたか
すいませんあざす(´Д⊂ヽ
全然キモくないすスゲェ嬉しいす(´Д⊂ヽ
そすねナンダカンダで一番記事数も多いし
兄や甥の話にも噛んでるんで(w
思い入れもイパイあるす(*´∀`)
死に別れるトコまで妄想済みなのもこの二人だけw
そう言っていただけたらほんと嬉しいす(´Д⊂ヽ
まりがとんございますたー(´Д⊂ヽ
2009/06/28(日) 23:19 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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