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恋の理由・ある夜の会話(8)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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「慎治さんは普段たくさん話すけど、一番肝心な部分はいつも言葉より態度で教えてくれるんだ。家に帰ってよく考えて、あん時、慎治さんがほとんど抵抗しなかったのも……きっと理由(わけ)があると思った」

 ――やっぱり。そうなんだ。

 『抵抗』

 野田がこの言葉を使ったことで把握できた。

 ――この野田が。

 まず彼が激昂するところから想像つかない。

 その感情のままに恋人を、――あまりこんな言葉は使いたくはないがおそらく強姦、……したのだろう。とてもじゃないが、野田はそんなことをする人間には見えない。けれどもあるいはいつも自分を抑えて生きている、そんな人間こそ、そのタガが外れた時の反動は大きいのかも知れない。

 野田の無表情をじっと見る。その内側に秘められたもの。

 恋する人を想う、激しさ。

 そんな衝動に駆られたのも、その想いの強さ故、なのだろうか。

「だから大人になったら、もう一度だけ、慎治さんに会いに行こうと思った。それまでに俺が思う大人に、少しでも近付いていられるように。まずは受験勉強に本腰入れた。大学をK大に決めたのも、慎治さんがK大出身だからだよ。受かってからは学費を自分で働いて出すって決めて。……そんなことに意味があるのか、分かんなかったけど、とりあえずできる限りのことをして、ハタチまで待とうって」

 『ハタチ』

 ――そうか。

 野田の纏う空気が変わったのも、丁度野田の二十歳の誕生日の少しあとのことだっただろうか。

 恋人から突き付けられた突然の別れ。納得できずに恋人を傷付け、それ以上に自身も傷付いた。

 その傷を負ったまま、ただ一途に大人になるためにと、自身に課した罰。それを黙々とこなすだけの日々。入学当初の野田は、こんなことを思って生きていたのかと、全て合点が行った。あの痛々しいまでの無表情は、本当に自らに「笑ってはいけない」と言い聞かせてきたものだったのかもしれない。

「……その日もね、雨だったんだ」




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野田歩について:歩×慎治 
野本が歩に告った話    → 『瞳を閉じればあなたが、まぶたのうらにいることで』
歩が雨の中帰ってった話 → 『雨の日には抱きしめて、その腕で確かめて。』


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コメント
 あゆタン…大人やねぇ…。
 自分が20歳だったときのことを思ったら、何だか切なくなりました(爆)
2009/06/29(月) 10:24 | URL | 如月久美子 #-[ 編集]
大人になろうと必死こきますたw
>如月さん(*´∀`)

大人になろうとがんがりますたが
歩は結局ずっとコドモっぽいままなんじゃないかと思ったりw
なにしろなんにもできない人なものすからw
ただ慎治を想うその一途な気持ちだけで
ここまでなんとかたどり着いた感じす(*´∀`)

ワタシもナメにナメまくったハタチですた(゚∀゚)アヒャ
勉強せんなんからってバイトそんなに入れてないのに
勉強もロクにしないでそして金ないなーとか文句言ったりw
もっとちゃんとやっときゃ良かった……orz
セツナス(´・ω・`)ショボーン
2009/06/29(月) 23:02 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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