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恋の理由・ある夜の会話(9)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 ――また雨、か。

 雨。

 野田の過去二度の恋愛で、大きな傷を負った日に降っていた。

 雨が降るたび、それを思い出し、また傷付いて。そしておそらく、また傷つくのだろうかと、恐れる。

 それが野田にとっての、雨の日。

 ――スゲェ、キッツい……。

「ハタチになって、その日のうちに慎治さんに会いに行ったよ。……慎治さんは、待っててくれた。『おかえり』って」

 ようやく野田の纏う空気が戻った。穏やかで、柔らかい、今の野田。野本の心を切なく波打たせる、優しい空気。

「俺はね、ほんとにもう大丈夫なんだ。あの期間があったから、俺はこの大学に入れたんだと思うし、俺がどれだけ自分勝手なコドモだったのか、思い知ることもできたし。俺にとって慎治さんがどれだけ大事な人なのか、俺がどれだけ必要としてる人なのか、実感もできたから」

 また野田がビールを呷ったが、飲み干してしまったらしく、あれ? と缶の中を覗き込んだ。その仕草がなんとも幼く見える。無理をして大人になろうと自分を抑えてきた野田の、本当の素顔はこれなんだろうと感じた。

 分かった気がする。

 ――野田は、可愛い。

 野田の無口と無表情の下には、こんなにも色々な感情と子供っぽさが隠されていた。

 そしてこれこそが、野田に惹かれてやまない理由なのだろう。

「ビール、もう飲んだのかよ」

 野本の声に無言で頷く野田に、仕方ねぇな、とまた新しい缶を脇から取り、プルを引いて野田に手渡した。野田は礼を言う代わりに、野本に向かって小さく口角を笑みに上げた。そしてまた、野本はその笑みに魅せられて瞠目する。

 ――あー……堪んねーな。

 野本の視線を感じているのかいないのか、受け取った缶を早速口元へ運ぶ野田を見ながら、野本は苦笑した。




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野田歩について:歩×慎治 
野本が歩に告った話    → 『瞳を閉じればあなたが、まぶたのうらにいることで』
歩が雨の中帰ってった話 → 『雨の日には抱きしめて、その腕で確かめて。』


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コメント
これは…!!
最近、ベラさんの更新を読んでから寝るのが癖になってます。
目覚めすっきりして爽快な朝を迎えております(笑)

だんだんとノロケムード突入でしょうか??野本くん可哀想っ(笑)
誰かにノロケられた&失恋相談してその人とくっつけばいいのにぃと妄想広がりまくりす(爆)

慎ティンから電話かかってくるか、ぐでんぐでんによった歩が電話したら楽しいなぁ←とか野本くんいぢめの妄想がノンストップです(笑)
2009/06/30(火) 00:16 | URL | 市川美咲 #-[ 編集]
歩の自分語りほぼ終了す(*´∀`)
>市川美咲さん(*´∀`)

あわわわ毎日深夜更新すいませんですアセアセ
朝早い日は早寝してくだたいねすいませんです(;´Д`)
でもほんとありがとうございます(´Д⊂ヽ

そろそろ歩の酔いも限界w
ノロケは案外少なめで終わってしまいましたorz
でも野本はここからは苦笑いばっかでカワイソス(゚∀゚)アヒャ

野本の救済話はぼんやり持ち上がってますw
いつか形になった時はまたこちらもお付き合いくだたい(*´∀`)

いつのまにかぐでんぐでんだった(あんまり表面には出てませんがw)
歩、オヤスミ前に慎ティンに電話しますw
(今夜更新分すw)
あと2回で終わりますが引き続きのお付き合いよろすくおながいいたします(*´∀`)

2009/06/30(火) 21:45 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
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