十二月二四日、夜八時（15）（R18）

「はぁ、んっ、ぁ、も……」
「もっと声聞かせろよ歩……」

　もう何が何なのか分からない。慎治さんが俺を揺する度、出そうと思わなくても声が出る。いつまでも続く責め苦にも似た甘い官能。苦しさに思わず目を閉じた。目尻から溢れた涙が頬を伝う。その涙を慎治さんの舌が掬い取る。

「あ、ぁ、も、――っ」
「歩、お前の初めて、俺にくれてありがとな……」
「んっ、ん、ぁ、イ、く慎治さ……」

　深く突き上げられて、慎治さんが俺の中でどくん、と脈打った。慎治さんの震えが俺にまで伝わって、俺の心が震える。再び込み上げる射精の予感に、慎治さんを締め上げた。強く抱き締められながら、俺は三度目の絶頂を迎えた――。




「歩、平気か？」

　意識の端で慎治さんの声が聞こえる。平気、と答えたつもりだけど、慎治さんに届いただろうか。ふわふわと、打ち寄せてくる眠気に身を任せていたら、愛してるよ歩、と意識の遠くで慎治さんが囁いて俺にキスをした。俺は口端を上げてなんとか笑みを返す事でその言葉に応え、そのまま意識を手放して深い眠りに落ちていった。








「……歩」

　軽く揺すられて、俺は薄く目を開けた。部屋がほの明るい事で、もう朝なんだと知る。

「……ん……」
「俺仕事。行ってくるな」
「……うん」

　俺は小さく頷いた。さすがに身体が重い。身じろぐとツキン、と背後が痛んで思わず眉を寄せた。しまった、と慎治さんを見る。

「歩……」

　心配そうに俺を見る慎治さんの視線とかち合う。慎治さんの表情がどこか可愛く感じて、俺は少し笑った。

「慎治さん……そんな顔、しなくてイイから」

　慎治さんのネクタイを引っ張ってキスをせがむ。引っ張られた慎治さんは驚いたようにベッドに手を突いて、けれどもやっとほっとしたように表情を和らげてキスに応えた。

「……」

　慎治さんが俺を見つめて頬を撫でる。俺はその手が気持ち良くて目を細め、慎治さんの手に俺の手を重ねてそっと握った。

「……いってらっしゃい」

　掠れた声で言って、慎治さんの掌にキスをする。

「うん、じゃな」

　慎治さんは俺の目許にキスを落として、少し名残惜しそうに立ち上がった。俺はベッドに寝転がったまま、椅子の背に掛けてあったコートを羽織り、部屋を出て行く慎治さんを見送る。静かに閉まるドアの音に慎治さんの優しさを感じて、胸に暖かいものが流れてきた。

　壁に掛かった時計を見る。もう一眠りして、一旦家に帰ろう。そしてまた慎治さんが帰って来る前にここに戻って来よう。慎治さん驚くかな。今日ケーキ食うって約束したし。それを口実に、慎治さんに会いてーし。

　慎治さん、大好きだ。

　零れる笑みを浮かべたまま、俺は再び目を閉じた。




おしまい


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最後若干駆け足感？延々続いたエロ終了です。
歩のイブの日のレポート、いかがでしたでしょうかwwwwww
特にご要望いただいた皆様（4名様wwwwww）ありがとうございますた。
ほんわか終わりすぎて波乱フラグを妄想内で抜き差ししつつ（それは今のところ未定す）
一旦完結です。長らくお付き合い頂きありがとうございますたー。
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