三垣君の苦悩の日々・ファイナル（８）（R18）

　握った手を、腰の動きに合わせて上下させる。触れ合った互いの先端から蜜が溢れ、ぬるぬると掌の中で滑った。二人の熱が溶け合い、ともに昂ってゆく。

「んっ、ぁっ……友冶さんっ」

　村椿の切羽詰まった声が欲望を煽る。村椿の手の力が強まった。村椿にこんな力が。身体がかっと熱くなる。

「お前も……もう一人前なんだなきっと……」

　息遣いが荒くなる。重なる吐息。

「ツバキ、イけるか？」
「友冶さん、は……？」
「さっきから散々俺に色々やっておいて……分かっだろ……？」
「友冶さん、僕っ、友冶さんの中に……」
「それは後でだ、ツバキ……」
「友冶さん……」

　二人とも限界近い。今更中断する余裕なんてない。体勢を変えたそうな村椿に構わず行為を続けると、村椿に噛み付くように唇を塞がれた。村椿の激しい口付けにクラクラする。呼吸を奪われて血が逆流する。

「んっ、……っ、んんっ……！」

　びくん、と村椿の身体が震える。誘われるように三垣も身体を震わせた。同時に二人、掌の中に白濁を吐き出した。

「ん……あー……」

　全て吐き出すと、三垣に疲労が一気に押し寄せた。村椿の頬にゆっくりとキスをした後、三垣はぐったりと布団に倒れた。

「だ、大丈夫ですか友冶さん？」
「んなワケねぇ……」

　下戸なのに飲まされ更に多分一服盛られて、縛られそして背後を散々弄られて平気でいられるはずがない。一連の出来事も含めて頭まで痛くなってきた。

「すいません今拭きます……」

　村椿は慌てて側に用意してあった店のお絞りで自分の手と下腹部を拭い、それから三垣の手と下肢を丁寧な仕種で拭い始めた。多少の羞恥は残っていたが、倦怠感プラス「拭きやがれコノヤロー」的見せしめのような気持ちで村椿のするがままに任せた。

　うっすらとだが予想通り腕に残ってしまった拘束痕を手首を返してぼんやりと眺めていると、行為の始めに村椿が言っていた言葉が思い返された。

「ツバキ、時間がないとかどこに行っても、とか言ってたけど……あれどういう事だよ」

　聞かれた村椿ははっとしたように顔を上げ、三垣の枕元に正座した。

「三垣部長、来月にはイギリスに行ってしまうって……」
「――……は？」

　正に寝耳に水な話に思わず声がひっくり返る勢いで村椿を見た。

「違うんですか……？　ロイター通信への就職目指してオックスフォードでマスメディアの勉強を……」
「なんだよそれ？　全くのガセなんだけど。誰情報だよ？」

　村椿の表情がさっと青ざめた。

「ええと志水先輩から……」
「志水か！　ツバキお前それおま……何信じてんだよっ！　俺大学綾大っ！　全然地元だっつーのっ！　全っ然家から通うしっ」

　――あーもーマジかよ……。ツバキのヤツ、踊らされやがった……。クソ覚えてろ志水……。

　ぐったり。気が遠くなりそうだ。




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三垣君シリーズあります。よろしければあわせてお読みくだちぃ。
三垣君の苦悩の日々
続・三垣君の苦悩の日々
三垣君の苦悩の日々ZZ



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