そばにいるから。（22）

「慎治さんは、タチだよ。……ほんとはね。手、離せよサトル。ヤってやるから」
「やだってあーちゃんっ、俺違っ、ちょ……待ってって」

　学が歩の手から逃れようと身体を捻る。そのはずみで歩は学の上から床に振り落とされた。

「……っ」

学が歩の手首を掴んだまま、慌てたように身体を起こした。

「あーちゃんっ」

　知らぬ間に二人とも息が上がっていた。肩で呼吸をしながら、歩はしばらく学を睨むように見詰めた。

「……手、離せよサトル。もうしねぇから」
「……うん」

　歩は床に座って、学を見上げた。思いの他強く握られていたらしい。離された手首は、学の指が食い込んでいた場所がじん、と重く痛んだ。

「サトル」
「……」
「俺は、違うだろ？」
「……何がだよ」
「サトル、そろそろ気付けよ。大事なものは、大事にしねぇと。モノだけじゃねーよ。人だって、大事に扱わないと早く壊れるんだよ」
「ハルカの事言ってんの？」
「ハルカの他に誰がいんだよ。ハルカ、今日バイトが終わったら、その店長のモノになりに行く、って言ってた。お前が大事にしないから、ハルカ壊れそうだよ」
「……、戻れねぇよにしてやったつもりなのに……っ」

　学が表情を歪めた。傷ついた表情が隠し切れずに顔を出す。

　もしかしたら学も夕べ泣いたのかもしれない。

　学の表情は、歩にそう思わせた。







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野田学について(*´∀｀)

叔父：野田歩（あーちゃん）
父　 ：野田進
『野田学、10歳。好きな人がいます。 』

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