すべては愛のせいだろ？（10）（R18）

「っん、……っ」

　内側から押し拡げられる圧迫感。身体全てが拡げられているかのようで、その緊張にチリチリと、思考が灼かれてゆく。視界が暗くなり、呼吸が浅くなる。ふと痛みについて意識を遣ると、あれでいて念入りに解されていたらしい。圧迫感の苦しさに喘ぐだけで、痛みは感じなかった。そこへまた、官能の一点が抉られる。

「んっ、……、……っ」

　少しずつ。

　覚え込まされている、と感じる。

　知らなかった、いや知りたくもなかった愉悦を。

　聡士の指を。

　このあとはきっと、聡士自身を教え込まれる。

　そして――。

　――ヤバい。

　芯からせり上がる快感で熱を持つ身体。なのに頭からは血の気が引いてゆく。酸素が足りない。確かに聞こえる警鐘。けれども鈍る思考にその警告の意味を考えるのもままならない。

　考えなくても分かるのは今、身体が何を求めているのか――。

「っ、……」

　淳汰の空いた手が自ずと伸びる。その手が目的の場所に行き着く前に、聡士が淳汰の手首を取った。

「イきてぇ？」
「……っ」

　この手が行こうとしていた先は。

　――握って、扱いて、イこうとしてた？

　慄いて、聡士を見る。目が合った聡士は勝ち誇ったような笑みを湛え、取った手を見せつけるように横から咥え、そして歯を立てた。

「っ、……今」
「ん？」
「何分、経った？」
「んー……十二分？」

　聡士はいかにもな様子でヘッドボードにはめ込まれたデジタル時計のディスプレイに視線を投げて答えた。

「じゃあ、まだだ」
「……ふぅん？」
「……っ、ぁっ」

　意地張るな、と言うようにまた、内側から抉られた。







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↓二人がちょろっと出てくる話はコチラ
中野聡士→『にしがひがしに』
山井淳汰→『24/7(twentyfour-seven)』


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