にしがひがしに（７）（R18)

　再び木戸に根元を握られて、ほら、と促された。ガクガクと震える身体。シャツのボタンを外そうと試みるが、手元が覚束なくて巧く外れない。

「今日に限ってボタンある服着てんねんな、太一」

　木戸がどこか意地悪い表情で笑って、はよ脱げよ、と言いながら太一の幹に指先を滑らせた。途端にびく、と背が跳ねる。

「んっ、そ、んな……木戸っ」

　故意に快感を煽られて、行き場のない熱が涙となってじわりと目尻に浮かんだ。どうやっても脱げそうにない服がもどかしくて、シャツの胸元を掴んで引っ張った。

「あかんて太一、破れる」

　しゃーないなぁ、と苦笑して、木戸が空いた方の手で太一のシャツのボタンをあっという間に上から二つ、外してみせた。木戸がシャツを裾からたくし上げる。胸元まで捲られて、突起を弾かれた。

「あっ、んっ……も……木戸、嫌や……」

　今日の木戸は、いつもに増して意地が悪い。潤む視界で木戸を見詰め、何故、と視線で問い掛けた。

「太一は俺がどんだけお前以外のヤツなんか要らんて思ってんのか、まだ分かってへんみたいやから。……ほら、袖。腕抜けよ」

　太一が自力で服を脱ぐのは無理だと判断したのか、木戸が袖を引っ張って、太一の上衣を脱がし始めた。太一が素直にそれに従って服の袖から腕を抜くと、首からそれを抜いた。やっと、二人裸になれた。行為はまだ始まったばかりなのに、もう、何も我慢したくない。

「木戸っ、木戸……っ、お、願っ、やから……」

　なぁ、と木戸の背に両腕を回して懇願する。

「あかん。今日は出さんとイくまで、イかしたらへん」
「んっ、な、んで……」

　木戸が少し身体をずらし、太一を戒める手はそのままにもう片方の手を舐めて濡らしてから、その手も太一の下肢へと伸ばしてきた。手探りで双の肉を割り、太一の後孔に指の腹を宛てがうと、ぐ、と指を埋め込んだ。

「中野に気安う触らせたりするからや」
「だって、そ、れは……っ、あっ、木戸っ、んっ」

　木戸の侵入を待ちわびていたそこは、解されもしないのに木戸の指を包み込み、襞はいやらしく蠢いて奥へと誘う。太一の身体の中を、勝手知った様子で木戸の指が動き、太一の官能の一点を掠める。

「あ、あ、木戸っ、イきたっ……っ」
「イけよ。イったらええねん。……でも出すなよ」

　木戸は、太一の中に収めた指を、中を抉りながら抜き挿しし始めた。

「んっ、嫌やて、あ、イく、木戸っ……っ」

　そこを掠められる度、身体中の血が滾って行く。鈍った思考に靄が掛かって意識が遠のきそうになる。現を諦めようとすると、木戸に荒々しく唇を塞がれて呼び戻された。





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