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貴史×生(年下攻×真面目眼鏡)(完結)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 震えるようにゆっくりと手を上げ、弧を描くその唇を指先でなぞる。すると、貴史の笑みが深まった。その表情を確かめるようにそっと、貴史の頬に手のひらを添わせた。

 少しの間、見つめ合い、そしてどちらからともなく唇を寄せ合った。

「――ごめん、正直言うと生が俺と同じだってだって分かったら、途端に下心が顔出したってのもホント。しかも生、恋愛もうまく行ってねぇみたいだったし」

 黙っていれば分からないことなのに、正直に打ち明ける貴史が愛しい。生は緩く首を横に振った。

「けど次生と話した時も、生はやっぱ初めて話した時と同じように俺に接したから、あー俺って印象ねぇかな、とか、魅力ねぇのかな、とか、だんだん自分に自信、つか、そんなの元々そうあったわけじゃねんだけど、そういうのがなくなってきた、つか。要するにイジけちまってたんだよ」

 苦く笑う貴史の表情が、けれども今となってはそれを懐かしんでいるかのようにも見えた。

「――毎日十一時頃、だったろ」
「え、……?」

「生がラクトに来てたの」
「あ……、ぅん」

 フロントに負担をかけないようにと、訪問客が一番少ないとフロントスタッフから聞いた時間帯。いつも、なるべくその時刻を狙ってジムを訪れていた。

 貴史がそんなことまで知っていたなんて、と小さな感動に胸が震える。

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