主よ、人の望みの喜びよ（12）（R18）

「慎治さん……イけよ」

　耳元で歩が嚇すように囁く。固さを持ち始めた慎治を握りながら、後ろでは慎治の体内を掻き回す。何度も交わって覚えた慎治の悦い箇所を、歩は確かに突いてくる。縋るように慎治を抱き留める歩の片腕。その愛しさに己の手を重ね、その腕を取り、口付けたくなる。それが叶わない今、両腕が戒められていて良かったと、安堵にも似た気持ちすら覚える。

「俺でイけよ、慎治さん……それで、……」

　歩が言葉を詰まらせる。続く言葉の代わりのように、大きく突き上げられた。

「っく、……っ、んっ……」

　――それで。それで別れてやる、か……。

　分かったとばかりに頷いて、慎治は身体を歩に託した。

　破れた皮膚から血が流れ続けているのか、歩はその箇所を何度も舐めた。慎治を握る歩の手は、慎治を官能の淵に追い込もうとするかのように緩急付けて上下に動く。荒々しく突き上げながらも、慎治の悦い箇所を選ぶようにそこを抉る歩に、歩の想いのようなものを感じると、もう堪える事はできなかった。官能の火は、あっという間に全身に広がってゆく。

「っく、……ぁっ、……」

　痛みを堪えて閉ざしたはずの唇から、甘い声が漏れる。慎治の身体が官能に侵され始めたのを知ったのか、歩が慎治の猛りを握る手を離した。代わりに内腿を掴み、うなじに宛てがった唇でそこをキツく吸い上げた。

「慎治さん……っ」

　好き、と絞り出すような歩の声がした。鼓膜を通って身体の最奥に到達すると、ぞくぞくと、切なさが込み上げた。

「っぁ、っは、っ、んっ……」

　理性で抑え切れなくなった身体がびくん、と震えた。歩を締め上げ、もっと奥へと歩を誘う。

「っく、慎治さ……っ」

　ずん、と一突きし、慎治の中で歩が弾けた。同時に、慎治も吐き出した白濁で、シーツを汚した。





←11へ　/　13へ→
１から読む
この時の歩視点→12＿歩



歩×慎治(高校生×リーマン）につきましてはコチラ↓R18です。

メイン　　　　→『雨がやんだら』

番外　　 　　→『十二月二四日、夜八時』

会話のみ　 →『今日のピロートーク』
　　　　　　　　　『クリスマスイブの過ごし方』
　　　　　　　　　『ただそれだけの朝』



↓ランキング参加中す。よければポチっと押してクダサイ
　 書く意欲に繋がってます。
にほんブログ村