主よ、人の望みの喜びよ（12＿歩）（R18）

「慎治さん……イけよ」

　痛みと一緒に、俺を感じて。痛みを感じた時、俺を思い出すように。この先俺を思い出す事があれば、痛みも思い出すように。

　舐めてはまた滲み出てくる慎治さんの血を夢中で舐めながら、身体が覚えた慎治さんの悦い所を何度も内側から抉った。

　こうしていると、いつもと変わらない行為な気がしてくる。いつものように慎治さんを強く抱き締めると、俺と慎治さんを隔てるように、戒められた慎治さんの腕にそれを阻まれて俺ははっとする。慎治さんから自由を奪ってこうしているのは俺なのに、俺には何の自由もない気がした。

「俺でイけよ、慎治さん……それで、……」

　――許してあげる。

　俺を受け入れた事も、俺を拒んだ事も。でも本当はきっと、好きになってはいけない人を好きになってしまう俺の所為だ。俺がこんなだから、俺が幸せになる事は許されないんだろう。

　早く元の俺に戻ろう。慎治さんを知らなかった頃の俺に。

　何もかも許して、――諦めて。いや違う、許すのは俺じゃなく、慎治さんの方？

　分からない。混乱する。確かなのは、今慎治さんの中に俺がいるって事だけなのに、どこかそれすら危うい。

　確かめるように俺は慎治さんを大きく突き上げた。

「っく、……っ、んっ……」

　慎治さんの背がしなる。俺が、慎治さんのこの場所を突いたから。声を堪えていても、間違いなく俺を感じてこうなってる。慎治さん、俺でこうなるようになったんだろ？　俺がいなくなっても本当にイイの？

　諦め切れない。

　どこをどうすれば慎治さんはどうなるか、とっくにもう全部覚えた。扱かれながら、俺にこうされると、結構すぐイっちゃうよね。俺は慎治さんの中を、掻き回した。




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