2ntブログ

主よ、人の望みの喜びよ(23)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 慎治はマグをテーブルに置いた。次いで腕を伸ばし、歩の手からも取り去った。

「おかえり、歩」

 ――俺の元に。

 愛してる、歩。

 慎治は両腕を歩に差し出した。



「慎治さん……っ」

 堰を切ったように、身を乗り出してきた歩にかき抱かれる。その腕の力の強さに、歩がこの二年半もの間抱えてきたものの重さを知る。労るように、歩の背を撫でた。

「歩お前ホントに……」

 ――頑張ったな。

 その先は声にはできなかった。歩の二年半をこの一言で片付けてしまうのは、あまりに軽い。

「慎治さんに酷い事した俺を……許して。慎治さんの事が、好きなんだ」
「歩……」

 歩もまた、あの日から罪悪感を背負ったままだった事に、今ようやく気が付いた。己の浅はかさに打ちのめされる。歩の激情を受け止める事で少しでも罪を償ったつもりになっていた自己満足が、返って歩に罪悪感を背負わせる結果になっていた――

 ――俺は、馬鹿だ。

 どこまで時を戻してやり直せば、歩を傷付けずに済むだろう。けれども他にどんなやり方があったのだろう。

 今から、やり直せるだろうか。

「歩」

 歩の頬に、手を掛けた。不安に翳る歩の瞳。俯く歩の顔を上げさせた。

「歩……愛してる」

 そっと、唇を重ねた。途端に全身が歩を求めて熱を持つ。脳髄まで蕩けてしまう前にと、重ねただけの唇をゆっくりと離すと、歩が離れる唇を追って顎を上げた。

「慎治さん……」

 上唇が歩の口内に含められる。歩の下唇を、慎治は舌先で慈しむように舐めた。慎治の舌を感じた歩が、その舌先を食む。それから下唇を咥え、優しく歯を立てながら緩く引っ張った。




←22へ / 24へ→
1から読む



歩×慎治(高校生×リーマン)につきましてはコチラ↓R18です。

メイン    →『雨がやんだら』

番外     →『十二月二四日、夜八時』

会話のみ  →『今日のピロートーク』
         『クリスマスイブの過ごし方』
         『ただそれだけの朝』
         『ささやかな望み』




↓ランキング参加中す。よければポチっと押してクダサイ
  書く意欲に繋がってます。
にほんブログ村
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ


コメント
お久しぶりです!!
久しぶりにこちらへ参ることができました!若干、緊張しております(≧□≦)/
しばらくPCに触れることが困難な環境だったため、ベラ様の小説をまた拝見できると思うと、ヤバイ!!嬉しいですっ!!
また、ちょくちょくお邪魔させていただきますねっ!!!
あ、あと。本当にどうでもいいことですが、とある失態にて半端なままイラストブログに変わってしまいました(;-;)
それでも来ていただければ、感無量です!!
2008/05/27(火) 21:30 | URL | 紫江 #-[ 編集]
お久しぶりです!
>紫江さん!
しばらく更新ないなーと行っては心配してますた(;´Д`)
新ブログですか?
ちょ……白ウサギタンヤバすぎ(;´Д`)ハァハァ
アリスタンもオトコノコの方向でどぞよろすくです(;´Д`)ハァハァ
てかマウスでアレを!凄すぎです!
これからまた通わせていただきますー!
2008/05/28(水) 05:37 | URL | ベラ #mQop/nM.[ 編集]
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
http://gerberahybridblog.blog.2nt.com/tb.php/304-27f17d95
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

 | Copyright © がっつりBL的。 All rights reserved. | 

 / Template by 無料ブログ テンプレート カスタマイズ