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穂積×野田(完結)(リーマン年下攻)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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 暫く他愛もない会話を交わし、頼んだものが運ばれてきた事でその会話が途切れた。ポークチャップの最初の数切れを口に運び、野田は箸を置いた。

「歩あのな」
「?」

 歩は小さい頃から好物の海老フライを食べながら、野田を見た。歩の口元からサクサクと、小気味良い音が小さく聞こえてくる。


 十五席程で埋まってしまうカウンターのみの小さい洋食屋。その店の一番端の椅子に座って、野田は弟を待っていた。野田が子供の頃から家族でよく来たこの店も、今となっては予約なしでは座れない程にその味が広く知れ渡ってしまった。

 カウンターの中では、コック帽を被った主人とそれを手伝う妻が忙しそうに動いている。野田が小さい頃から変わらず仲の良さそうな夫婦。子供の頃、オムレツを作る主人の手際に何度魅入ったか分からない。少し老けた二人のその表情には、変わらない幸せが滲んで見えた。



 あれから優子とは、たくさん話をした。優子は覚悟はできていたから、と笑っていたが、周囲の理解を得るには困難を伴った。それでもようやく優子は野田の近くのマンションに、子供達と、一緒に住む事を約束していた女性と共に住む事を決めた。


 翌日は出張先からそのまま社に出向き、結局遅い帰宅となってしまった。野田が関わるプロジェクトは既に別件が動いている。次は近県のダムの建設工事で、穂積とは関係ない公共事業だった。こんな工事でも穂積は自分の設計が好きだと言ってくれるんだろうか、などとミーティング中野田は、ぼんやり穂積を想った。





※18禁描写です。よろしくおながいいたします。


「穂積……」

 ――早く、欲しい。

 穂積を見上げ、懇願するように穂積のベルトに手を掛けた。もたつく手でそれを緩め、スラックスの前を寛げる。それを黙って見下ろしていた穂積が、自らの上着を脱ぎ捨て、野田の上着も襟首を掴んで野田から剥ぐようにしてそれを脱がせた。

「じゃ、……、……」

 ホテルの自室前。今夜もまた、野田は無言で穂積の言葉を待った。

「――野田さん、……」

 このあとの官能を期待する身体が、穂積に己の名を呼ばれただけでびく、と強張り反応する。



 あれから二度、野田は穂積と出張を共にした。その度野田は無言で穂積を誘い、穂積から声を掛けるよう仕向けた。そうやって全ての責任を穂積に託し、自分は被害者のような顔をして穂積に抱かれた。二人の関係を決定付ける核心を突く言葉が交わされる事は一切なく、穂積との関係も、野田を取り巻く状況も、一度目の行為から何も変わってはいなかった。


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