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尚大×位織(社会人年下攻)(完結)

BL好きが書いた自作小説を短編・シリーズでぼちぼちアップしています。年下攻率高し。 18禁。
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※15禁でおながいします。






「違……」
「じゃあなんだよ位織さんっ」
「っ、……」

 気付いたら、尚大の腕の中だった。

 激した力。

 位織の心まで踏み込んで、抱き締めるかのように。

 じゃな、と二人に背を向けたまま片手を軽く上げて、梁瀬は一人、駅の方へと歩いていった。

「――位織さん」

 梁瀬の背をじっと見送る位織に、尚大が声を掛けた。

「ここから俺んちと位織さんち、どっちが近いの」
「――え?」
「話。早くしたい」
「……、尚大の部屋」

 実のところ位織の部屋の方が近い。けれどもまだ、新しく始めるつもりで借りた部屋を、尚大の名残りで満たしたくはなかった。







 すぐ後ろにまで近付いたエンジン音に気おされたかのように、二人は歩みを止めた。まさか、と位織はゆっくりと振り返った。

 確かにそれは、尚大の車だった。

「尚大……」

 小さく名を呟くとまた、動けなくなる。

「位織さんっ」

 バン、とドアを叩きつけるように閉じて、尚大が位織の元に駆け寄ってきた。

 あるいは互いに重い付き合いを好まないと、最初に告白し合ってしまったこと。

 最初に交わした暗黙の取り決めに、二人共が縛られ過ぎて来たのかもしれない。

 いずれにしても、二人が恋人同士のような関係になるには、割り切った関係である期間が長過ぎた。

「これでケリ、付いたのかな、……」

 一度ゆっくり瞬きして、位織は笑った。確かに笑ったのに、歯が噛み合わずに震えた。







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