主よ、人の望みの喜びよ（25）(R15)

「ん、……、は……」

　キスを交わしながら歩のシャツに手を掛ける。早く、と急かす本能。身体がそれに付いて行けなくて巧く歩の服が脱がせない。

「慎治さん、ひょっとして、余裕ない……？」

　どこか嬉しそうに歩が微笑む。

「久々なんだよ。仕方ねーだろ」

　悔し紛れに開き直った口調で返した。

「俺も、余裕ねぇよ」

　慎治を見詰めて目を細め、歩は自ら着ていた服を脱ぎ捨てた。

「歩お前……」

　衣服の下から現われた歩の身体に目を奪われる。アルバイトで鍛えられでもしたのだろうか、美しく張りのある筋肉が、その滑らかな肌の下に潜むように、歩の上半身を薄く覆っていた。

「エロい成長遂げやがって……」
「え……？」

　タチ悪ぃよお前、と零し、歩の腹から胸を、その筋肉を確かめるように撫で上げた。腹をぴく、と震えさせ、歩が息を詰まらせる。歩は慎治のその手を取って、指先に唇を押し当てた。

　歩の視線に捕らえられ、動けない。頬が熱くなる。

「慎治さん俺……」

　慎治に視線を据えたまま、慎治の人差し指を根元まで口に含め舌を絡ませた。指の股を一舐めしてからゆっくりと吸い上げ、ちゅ、と音を立てて口からその指を解放する。

「会えない間、慎治さんのやらしい姿思い出して一人でしたよ」

　次いで中指を口に含め、人差し指同様いやらしい仕種で吸い上げた。

「……、歩お前、そんなキャラだったっけ……」
「大人になった……のかな」
「バッカヤロ……」

　五指全てを舐め終えて、歩は満足そうにその手を下に置いた。慎治の手を取っていたその手を伸ばし、慎治の下着の中に滑り込ませる。スウェットの中で熱く息づいていた慎治を、歩はそっと握った。

「好きだよ慎治さん……」
「ん……、ぁ……」

　歩の声が全身に染み渡る。眠っていた細胞が、呼び覚まされてゆく。

　無意識に腰が揺れる。歩の掌に、その熱を伝えるように幹を押し付けた。歩の指先が、慎治の先端を拭って去ってゆく。

「もうこんな濡れてる」

　歩は慎治の先走りで濡れた歩の指先を、掌を返して慎治に見せつけた。

「おま……うっせーよ」
「ん……ごめん。好きだよ、慎治さん」

　歩は静かに笑って、濡れた指を自らの舌で舐め取った。





←24へ　/　26へ→
１から読む



歩×慎治(高校生×リーマン）につきましてはコチラ↓R18です。

メイン　　　　→『雨がやんだら』

番外　　 　　→『十二月二四日、夜八時』

会話のみ　 →『今日のピロートーク』
　　　　　　　　　『クリスマスイブの過ごし方』
　　　　　　　　　『ただそれだけの朝』
　　　　　　　　　『ささやかな望み』




↓ランキング参加中す。よければポチっと押してクダサイ
　 書く意欲に繋がってます。
にほんブログ村